やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

島が沈んでもEEZは残る?

この話は結構以前から国際法、まさに海洋法の分野で議論されていて気になっていた。マーシャル諸島政府は既に公式に宣言しているのを、政府レポートで読んだ記憶もある。しっかり調べていない。調べなければならない分野だが。 海面上昇で沈みそうな島、もし…

チャールズ皇太子とソロモン諸島国家海洋政策

Prince Charles launches Ocean Policy - Solomon Star News チャールズ皇太子のソロモン諸島訪問。その目的にはソロモン諸島国家海洋政策設置式典の参加とマラリア対策があった。チャールズ皇太子は式典に参加したというだけで詳細は見つからない。私はチャ…

ダブ・ローネン『自決権とは何か』ナショナリズムからエスニック紛争へ(8)

第3章 基本への回帰 ハンナ・アレントを読んだ後だと、まるで絵本のように優しく感じる。。 自決権を促すアイデンティとは何か、どのように生まれるかが議論されている。個人と社会の関係性についても。 ローネン自身がこの本の最初で断っているのだが、い…

ハンナ・アレント『革命について』 — 読書メモ

今まで書いてきたメモを整理しました。 1 ハンナ・アレント『革命について』を読む動機 2 「あとがき」「解説」 3 「序章」 4 一章 革命の意味 5 三章 幸福の追求 6 感想 1 ハンナ・アレント 『革命について』を読む動機 当方の博士論文の理論枠組と…

ソロモン諸島台湾断交 ー マライタ州姿勢鮮明に、チャールズ皇太子の影響は? (2019.10.29-11.24)

9月16日に衝撃的に台湾断交に踏み切ったソロモン諸島。あれから2月。動きは以前より緩慢になったが、マライア州の動きが鮮明になってきた。英国チャールズ皇太子訪問が何を意味するのか。(何も意味しないような気もするが) 今までFBに上げてきたニュース…

ハンナ・アレント『革命について』(5)三章 幸福の追求

かなりボリュームのある二章の社会問題をスキップして、三章の幸福の追求を読んだ。面白いと思えるのだがまとめることはできない。やはり難しい。一章と同様印象に残った箇所だけ、メモしておきたい。(ちくま学芸文庫 2019年) 177頁 貧困から解放、平等…

「国際法における不干渉原則論の構図」ー藤澤厳著

香港のニュースを見ながら国際社会は、日本は何もできないのか? 国際法はそれこそ、中国が主張する内政不干渉の原則という国際法の「最も根本的な規範」しか示せないのか。と思っていたところ、千葉大の藤澤厳教授の論文「国際法における不干渉原則論の構図…

中国のウィグル弾圧を支持するソロモン諸島

cnsnews.com ウィグルの件はニュースに出てくる情報の表面をなぞる程度しか関心も知識もないのだが、国連総会の人権問題を取り扱う第三委員会で英国はじめ23カ国が中国を批判。これに対し54カ国が中国を支持したとのニュースを見た。 一瞬思ったのが太平…

Losing one’s freedom of expression and media are as fearful as militarization of the Pacific Islands

米国のキリスト教系、保守系、フェデラリスト志向のウェブメディアにバヌアツの件を寄稿。 中国の犯罪人へのパスポート販売と日本人(被害は韓国、中国他世界中だと思います。またマネロンが目的と理解しています)の仮想通貨プラストークンの被害者の件は誰…

Yusuf判事の自決権に関する議論

Antonio Cassese博士が編集した "Realizing Utopia: The Future of International Law" という本の中に、あのチャゴス諸島判決で国連決議1514を根拠に英国の不当性を指摘し、モーリシャス政府にチャゴスを返還する判決を下したソマリア出身のAbdulqawi A. Yu…