やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

カール・シュミット『現代帝国主義論』(3) 国際連盟とヨーロッパ(1928)

線引いた箇所の抜き書きだけ。 5 国際連盟は総会、理事会の機能、権限、権能が不明確。全世界の平和に関する問題に対処する現実的可能性も、義務の公認されていない。連盟は一切をなしうるが何もしなくても良い。 6 主たる功績は国際理解の雰囲気作り、い…

カール・シュミット『現代帝国主義論』(2)

カール・シュミット『現代帝国主義論』は7編の小論をまとめている。翻訳者の長尾氏は3つ目の論文のタイトルからこの本の題名をつけたのだそうだ。 国際連盟とヨーロッパ(1928) ライン地域の国際法的諸問題(1928) 現代帝国主義の国際法的諸形態…

カール・シュミット『現代帝国主義論』(1)

カール・シュミットの「大地のノモス」の海洋の章だけ読んだが、やはり全文読みたいと思うようになった。しかしなかなか手が出せないで本だけが目の前にある。 図書館の「大地のノモス」の隣に小論集の『現代帝国主義論』と言う本があって何気に借りて読み出…

逃した魚は誰が取る?

【DHC】2019/11/26(火) 百田尚樹×山田吉彦×居島一平【虎ノ門ニュース】 海洋法を学ぶものとして、日本のEEZの広さを強調する山田吉彦さんの立場は素直に支持できないのだが、今回の百田さんとの番組はよく言ってくれた、よく教えてくれた、と感謝、感動して…

島が沈んでもEEZは残る?

この話は結構以前から国際法、まさに海洋法の分野で議論されていて気になっていた。マーシャル諸島政府は既に公式に宣言しているのを、政府レポートで読んだ記憶もある。しっかり調べていない。調べなければならない分野だが。 海面上昇で沈みそうな島、もし…

チャールズ皇太子とソロモン諸島国家海洋政策

Prince Charles launches Ocean Policy - Solomon Star News チャールズ皇太子のソロモン諸島訪問。その目的にはソロモン諸島国家海洋政策設置式典の参加とマラリア対策があった。チャールズ皇太子は式典に参加したというだけで詳細は見つからない。私はチャ…

ダブ・ローネン『自決権とは何か』ナショナリズムからエスニック紛争へ(8)

第3章 基本への回帰 ハンナ・アレントを読んだ後だと、まるで絵本のように優しく感じる。。 自決権を促すアイデンティとは何か、どのように生まれるかが議論されている。個人と社会の関係性についても。 ローネン自身がこの本の最初で断っているのだが、い…

ハンナ・アレント『革命について』 — 読書メモ

今まで書いてきたメモを整理しました。 1 ハンナ・アレント『革命について』を読む動機 2 「あとがき」「解説」 3 「序章」 4 一章 革命の意味 5 三章 幸福の追求 6 感想 1 ハンナ・アレント 『革命について』を読む動機 当方の博士論文の理論枠組と…

ソロモン諸島台湾断交 ー マライタ州姿勢鮮明に、チャールズ皇太子の影響は? (2019.10.29-11.24)

9月16日に衝撃的に台湾断交に踏み切ったソロモン諸島。あれから2月。動きは以前より緩慢になったが、マライア州の動きが鮮明になってきた。英国チャールズ皇太子訪問が何を意味するのか。(何も意味しないような気もするが) 今までFBに上げてきたニュース…

ハンナ・アレント『革命について』(5)三章 幸福の追求

かなりボリュームのある二章の社会問題をスキップして、三章の幸福の追求を読んだ。面白いと思えるのだがまとめることはできない。やはり難しい。一章と同様印象に残った箇所だけ、メモしておきたい。(ちくま学芸文庫 2019年) 177頁 貧困から解放、平等…