やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2015-01-01から1年間の記事一覧

パラオの海洋保護区法案下院を通過

なんとパラオの海洋保護区法案が下院を通過してしまった。 上院も問題なく通過し、来週には大統領のサインがもらえる、という話だ。 ウーーンと唸るしかない。。 「そんなの帝国主義だー、植民地主義だー」と羽生会長から吊るし上げにあった時、当方も黙って…

日・パプアニューギニア首脳会談及び夕食会

パプアニューギニアのオニール首相が来日し、天皇皇后両陛下にもお会いになる事をニュースで読み気になっていた。 パプアニューギニアは、日本人が、建国の父ソマレ閣下の要望を聞き入れ、独立の支援をした事で誕生した国である。革命家ソマレ青年は、普段(…

米国の海洋政策の今

昨年デカプリオとパラオのレメンゲサウ大統領を招いて米国が開催したOur Oceanという会議。 今年はチリで10月5−6日開催。 米国からはケリー外相が出席。パラオからはベル副大統領が出席。 その席で米国の海洋政策の最新情報が発表された。 7項目があげ…

A Twenty-five year journey into telecommunications in the Pacific Islands

太平洋島嶼国の仕事をして25年になる。 別に陰徳の美とかで隠している訳ではないのだが、自分の業績を言っても「あなたにそんな事ができるわけない」とか「あなたがそんな事をしてはいけない」とか言われる事がある。 自慢したい業績の一つが情報通信分野…

やしの実大学と第2回島サミット

For 10 years since the 1990s, I have organized the "Coonuts Collage" project in the Yaeyama Islands of Okinawa. This project started with a project called "Talking about the Islands in the Islands". In the beginning, I held the "Talk on th…

世銀へのアドバイス

漁業資源管理のABCがわかっていなさそうな世銀に日本の外務官僚がアドバイスした話を前回書いたが、勿論実際にアドバイスされた内容は当方の素人見当とは全く違う専門的な内容である。 それでご本人に確認したところ、世銀にアドバイスされた内容とお名前も…

世銀がミスリードする漁業資源管理

第5回太平洋ツナフォーラムがフィジーで9月22−23日開催された。 ミクロネシア連邦のカツオ漁船拿捕事件、環境テロリスト組織シーシェパードや環境プロパガンダ組織PEWのおかげで魚の事に日々詳しくなっていくような気がしている。 それで、下記のフィ…

パラオの中国人

先週、パラオのチン議長、アンガウル州政府代表の中国公式訪問を以前取り上げた。 パラオと中国の関係はさらに強化されつつあるようだ。そしてその緊張関係も。。 パラオの中国人がどのような問題を起こしているか、地元評論家の興味深い記事があったので下…

パラオの海底通信ケーブル(4)

Courtesy of Island Times 9月21日の月曜日、大統領が海底通信ケーブル会社設置法にサインした。 この歴史的瞬間をこのブログに納めておきたい。 当方にとっては20年近い宿題だった。ナカムラ大統領、クアルテイ文部大臣(当時)、テレイ学長そしてパラオの…

ターンブル首相を取り巻く噂ーお金オタクで中共?

ラグビーワールドカップの日本の勝利で浮いている中、豪州のターンブル首相が初の女性国防大臣を指名したニュースを見つけた。 "Malcolm Turnbull names new ministry, promoting women and supporters" http://www.theguardian.com/australia-news/2015/sep…

ラグビーワールドカップ勝利の背景に太平洋が!

ラグビー世界カップ、日本の勝利に、日本がイヤ世界が感動している。 普段は観ないラグビーだがウェブで検索。 ン? どっちが日本?と一瞬迷った。外国人選手が結構いるのだ。 それも太平洋からの。。 チームリーダーはニュージーランド生まれフィジー人。 …

パラオの海底通信ケーブル(3)

パラオの海底通信ケーブルの件、多くの読者から貴重なコメント、アドヴァイスをいただきました。 改めて感謝致します。 9月15日、パラオ議会の委員長交代という、どんでん返しの末、無事に通信改訂法、具体的には海底ケーブル運営会社の設置が議会承認を…

パレスチナ問題で米国に忠誠を示すパラオ

パラオからもう一つニュース。 国連にパレスティナの国旗を掲げるかどうかの投票で反対に回った国は8カ国。 イスラエル、米国、豪州、カナダ、ツバル、ミクロネシア連邦 そして、パラオ。(一国足りない。多分マーシャル諸島) 棄権したのが独英を含む45…

パラオのチン議長アンガウル州政府代表中国公式訪問

パラオのチン議長とアンガウル州の政府代表が中国本土を訪問するという記事。 中国人観光客が激増し、人身事故も起っているが外交関係がない中国政府と対処に限度があり、パラオに中国政府の窓口を設置する事を協議するようである。また中国はアンガウル等の…

太平洋の気候変動問題がアボット退陣のきっかけ(かもしれない)

昨晩アボット首相が党首辞任に追い込まれた。 この急な展開のトリガーの一つが上記の太平洋島嶼国に関する移民大臣とのジョークだ。 マイクがオンになっている事を気づかず飛ばしたジョークが、まさか退陣につながるとは。。 ジョークは人種差別者のオースト…

PEWの食い物にされるパラオ

<政策とは過程なりーMPA議論> パラオの海洋保護区の事が気になっている。 レメンゲサウ政権の命取りになっているからだ。 興味深いMPAチェックリストを見つけた。 海洋保護区をどのように協議すべきか、という内容だ。 まさに政策とは過程なり。結果ではな…

PEACESATとPARTNERS

米国がNASAの中古衛星を利用して無料で提供した衛星通信事業PEACESAT - Pan-Pacific education and communication experiments by satellite という事業がある。 私は、PAECEATの再出発と2012年に同事業が終了するまで、様々な形で支援、共同事業を展開した…

独立を支援する大和魂

写真は左からベロニカ夫人、笹川良一氏、革命家ソマレ青年 日本がアジアの、世界の西洋植民地からの独立を助けたという話。 なんか眉唾のように思えていたけど、笹川良一氏がパプアニューギニアのマイケル・ソマレ閣下の独立運動を支援した話を知って納得し…

グリーンピースは西瓜だった。

「目を背けてはいけない、太平洋マグロ漁船で働く人々のありえない話。」 2015-09-03 国際環境NGOグリーンピース http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/53981/?utm_campaign=Oceans&utm_source=facebook&utm_medium=post&utm_term=03091…

パラオの海底通信ケーブル(2)

パラオの海底通信ケーブル接続の件で、引き続き動いている。 私にとっては15年越しの案件。 起源はもっと遡る。 1988年、日本政府に10年先駆けてフィジーのカミセセ•マラ閣下が太平洋島嶼国のために衛星を上げて欲しいと日本に要請があった。 私が南太…

安倍談話と太平洋の島々(2)日本の植民政策論

安倍談話の件はこのブログに書くつもりはなかったが、評論家の江崎道朗氏から「あなたが書かなきゃだめだ。」と言われて書く事にした。 安倍談話の一つのキーワードと言われた「植民地」 これを語るには、新渡戸稲造を、矢内原忠雄を、そしてアダム・スミス…

安倍談話と太平洋の島々(1)日露戦争

安倍談話は早くから注目していた。 今でこそ技術が発達し、太平洋を取り囲む先進諸国は、途中給油の必要もなく広い太平洋を一跨ぎで飛び越えられる。 しかし、戦前は船の燃料や食料の補給基地、通信回線の中継基地として、太平洋の小さな島々は重要だったの…

「太平洋島嶼国のEEZ管理能力と国際協力の現状と可能性」

ミクロネシア海上保安事業を2008年5月に立ち上げてから7年が経つ。 その間、このブログも海洋問題を中心に書いてきた。 読者の多くの方は当方が海洋問題を研究していると勘違いされているようだ。 海洋問題は実務として扱っており、学術面では1991年からや…

Second Forum for India Pacific Island Countries (FIPIC) Summit

8月21日インドのジャヤプラでモディ首相が14の太平洋島嶼国首脳を招聘し、第2回インドー太平洋島嶼国サミットフォーラムが開催。昨年のモディ首相フィジー訪問時に島嶼国首脳を集めてのサミットに続く2回目となる。 Preparing for the Indo-Pacific cen…

パラオ海底通信ケーブル設置に向けた緊急提言

現在パラオは海底通信ケーブルに接続できるかどうか、即ちブロードバンドの環境が得られるかどうかで危機的状況に面している。 ADBは既に本件に対しローンを決定しているが、競争導入が条件となっている。 パラオ議会で緊急議案となっている背景には、昨年NE…

参議院での太平洋クロマグロ議論(4)

参議院での太平洋クロマグロ議論をビデオで一通り拝見した。 なんと言っても圧巻は平成27年07月07日の徳永議員と水産庁本川長官とのやりとりである。 本川長官 「・・・そういう意味では、全く効果がない数字であるというのは余りにも理解のない御主張ではな…

パラオの海底通信ケーブル

Available from:「NEC、東南アジアと米国を結ぶ光海底ケーブル「SEA-US」の建設請負契約を締結」2014年8月29日、日本電気株式会社 http://jpn.nec.com/press/201408/20140829_01.html ミクロネシア連邦の通信制度改革が、私の提案で開始し、その後世銀等の支…

参議院での太平洋クロマグロ議論(3)

平成27年5月21日の参議院農林水産委員会での舞立議員がクロマグロについて質問する前に、民主党の徳永エリ議員がこの問題を取り上げていた。下記メモだけです。 この問題に関心のある人には興味深い内容だと思います。 クロマグロを巡る議会での議論、も…

参議院での太平洋クロマグロ議論(2)

徳永議員の「正直私たちは誰が言っておられることが正しいのかよく分からないんですね。」 は全く同意である。 学者も意見が分かれる、メディアや国民は一次データを調べられるわけでもない。学者が右と言えば右か、左と言えば左か、と受け止めてします。 加…

参議院での太平洋クロマグロ議論(1)

参議院で太平洋クロマグロがこんなに議論されているとは知らなかった。 記録だけ。 参 - 農林水産委員会 - 9号 平成27年05月21日 ○舞立昇治君 (前略) 続きまして、本日のメーンテーマでございますけれども、これも火曜の徳永議員が取り上げたテーマと同じ…