やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

トランプ大統領メガ海洋保護区を廃止する?

President Trump Gives Remarks and Signs the Antiquities Executive Order 今日のホヤホヤのニュースです。 トランプ大統領、やりました。 米国は1906年に制定された Antiquities Act, という大統領令で米国の広大な土地、海洋を保護区にしてきたが、これ…

明後日アンザックデーに備え

本当は日豪関係の専門家が取り上げるべき内容だが、平間洋一先生しかこの事を語っていないように見えるので、敢えて書いておきたい。 明後日アンザックデーに備え、過去に書いたブログをリストしておく。 豪州人、ニュージーランド人には受け入れ難い史実な…

現代海洋法の潮流第一巻「海洋法の歴史的展開」読書メモ

本当は第3巻を読むよう、坂元教授からご教示いただいたのだが、図書館で第一巻を手にしたらグロチウスがあったのでこちらも借りた。 読んだのは、 第一部海洋法通史の「第一章海洋前史」(明石欽司著)と 第二部海洋の諸制度の発展史にある終章「海洋法の発…

トンガ王国に中国人ヒットマン?

先日の海洋議連では中国の太平洋島嶼国への進出が大きなテーマの一つであった。 当方も中国人の友人が何人もいるし、中国政府の外交官の海外での活躍ぶりを見る度に日本にリクルートしたい、と思う位評価している。 問題は、中国の進出が太平洋島嶼国に歓迎…

パラオ海洋保護区のその後

パラオ全EEZの80%を商業漁業禁止にする法案。 下記のニュースによるとそれが本当に地元水産業に貢献するのか、大きな疑問が残っており、The National Geographic Pristine Seas, the Palau International Coral Reef Center, the Palau National Marine San…

超党派「国際法に基づくアジアの海洋の安全のために議員連盟 (国際海洋議連)」その3

超党派「国際法に基づくアジアの海洋の安全のために議員連盟 (国際海洋議連)」(会長古屋圭司衆議院議員)で講演させていただく貴重な機会をいただいた。 国会議員への講演。これがどんな意味を持つのか。実はすごく重みのある話である事は気付いていたが、…

年金とカジノ・海洋保護区

カジノと海洋保護区、根っこは年金問題だった。 明日か、明後日か、書きます。 とりあえず、下記の資料をパラオの友人と共有するために。 サイパンのカジノ関連法 4 CMC 2301-2309.pdf

超党派「国際法に基づくアジアの海洋の安全のために議員連盟 (国際海洋議連)」その2

今週予定している超党派「国際法に基づくアジアの海洋の安全のために議員連盟 (国際海洋議連)」勉強会での発表をリハーサルさせてもらった。聴衆は同志社大学の大学院生である。 質問や修正箇所の指摘もたくさんいただいて大変助かった。 その中で、前回の太…

パラオの教書演説

パラオのレメンゲサウ大統領の教書演説が発表された。 日本財団、笹川平和財団への感謝が強調されている、と現地の知人から連絡をいただきつらつらと読んでみたら、結構面白かったので簡単にご報告します。 State of the Republic Address By President Tomm…

サイパンのカジノスキャンダル 結末?

以前書いたサイパンのカジノスキャンダル の結末。 とりあえず関連ニュースのリストを下記に掲載。 このスキャンダルにトランプ大統領が関わっているので、トランプ叩きに格好のニュースだ。 こんなスキャンダルは太平洋島嶼国に山ほどあるが、トランプ大統…

超党派「国際法に基づくアジアの海洋の安全のために議員連盟 (国際海洋議連)」

超党派「国際法に基づくアジアの海洋の安全のために議員連盟(国際海洋議連)」が今年2月に発足。 古屋圭司衆議院銀が会長に就任された。 実は来週講師で呼ばれ発表する。 太平洋に迫る中国の存在をどのように表現したら良いか。 中台の外交関係のある島嶼国…

キリバスのフィジーの土地購入が胡散臭い話である件

太平洋島嶼国のリーダーが全EEZを海洋保護区にしたり、将来温暖化で島が沈むのに備えどこかに土地を購入する話が、なんの批判的検証もせずにニュースに流れる情報をそのまま鵜呑みにされている事に危機感すら持っている。 パラオのレメンゲサウ大統領も、キ…

島か岩かー外務省経済局長大島氏の見解

メモ 第145回国会 建設委員会 第8号 平成十一年四月十六日(金曜日) http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/145/0014/14504160014008c.html ○大島(正)政府委員 お答え申し上げます。 もちろん、沖ノ鳥島は我が国の領土でございます。国連海洋法条…

VDS反対論

VDS政策撤廃を、水産庁にいた小松正之さん(現在東京財団上席研究員)が述べている。 「VDS価格は08年から11年まで1日当たり1200~2500㌦。15年からは8000㌦となった。島嶼国のVDS収入は、ミクロネシアでは国家収入の約40%、キリバスでは…

離島の離島対策

NASAの写真。右下の環礁がカヤンゲル 太平洋島嶼国自体が太平洋の孤島、離島である。 太平洋島嶼国の中で2番目に人口が多い(約90万) フィジーでさえ、離島対策が行われたのはバイニマラマ政権になってからではないか? 先進国の日本でさえ、隣国の脅威が…

ミクロネシア連邦新たな海洋保護区制定

先週、ミクロネシア議会が新たな海洋保護区制定の法案が可決した。 大統領のサインを待つだけである。 領海、12海里までを一切の漁業、自然資源の開発を禁止するという内容。 NINETEENTH CONGRESS OF THE FEDERATED STATES OF MICRONESIA FIFTH REGULAR SESS…

日本パラオ連合と大陸棚

日本パラオ連合というアイデアは、「頭がおかしいと思われるから誰にも言うな。」と言われていたが、なんと同じ事を笹川会長が述べていた! ここにもいた。頭がおかしい人! 小島嶼国の自立には限界があってずっと支援しなきゃいけない、というような事を渡…

パラオ、中国・ベトナムとの関係強化

パラオに新たな中国との経済交流を促進する会が発足とのニュース。 メンバーには、ベルズ前副大統領や、トリビオン元大統領、アラン・シード氏など。 パラオは一環して台湾との外交関係を維持している。この協会はプライベートな交流で政治的なものではない…

渡邉昭夫編著『21世紀を創るー大平正芳の政治的遺産を継いで』PHP研究所, 2016

https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-83131-2 年賀に渡辺昭夫先生から「白鳥の歌」のリストをいただいた。 渡辺先生が一作ごとにswan’s songのつもりで書かれた作品の一つが『21世紀を創るー大平正芳の政治的遺産を継いで』(PHP研究所…

エコロジー帝国主義批判

下記のブログで紹介した、マレーシア、マハティール首相のエコロジー帝国主義批判を議論している熱帯林開発に関する論文を確認した。 村尾行一著、「第5章 東南アジア林業の逆説」(第2部森林資源の管理問題、有木純善編著『国際会時代の森林資源問題』)…

豪州外交白書へ向けて

現在豪州の外交白書が作成中で、今年中に発表されるらしい。 下記のビショップ外相によればパブリックコメントは2月末に閉め切られたようだ。 残念! 知っていたら出したのに。 この白書に向けて、ASPI(Australia Strategic Policy Institute) のGraeme Dob…

ニュージーランド王立海軍出動!

こうやって情報をブログで発信していると沢山の人が、さらなら情報を下さる。 そこから芋づる式にどんどん出て来て、お花見の予定も延期。 昨日フィジーのイノケ外相のツイッターで豪、NZ, トンガ、フィジー、パプアニューギニアの防衛相会議がニュージーラ…

太平洋島サミットと海洋問題(BBNJ)

3年に一度の太平洋島サミット。その中間に閣僚会議が開催される。 Chairs’ Summary of the PALM Third Ministerial Interim Meeting Tokyo, JAPAN 17 January 2017 http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000219451.pdf 前回は2017年1月。岸田外相とミクロネ…

ソマレ閣下最後の議会演説。後継者は次女に?

4月4日、パプアニューギニアの国父ソマレ閣下が議会で最後の演説を行った。 第一線からは数年前に退いていたソマレ閣下だが、東セピックの議員として、また2014年に安倍総理を迎えた同州知事として活躍されていた。 ちょうど49年前の同日1968年4月4日に…

クロマグロ資源は回復する

ご静養中の天皇皇后両陛下がウナギの研究施設など視察 とのニュース。 ハゼ研究家の天皇陛下は水産資源への関心が誰よりも高いのではないだろうか? ハゼに関する天皇陛下のご様子をそこに居合わせた方から聞く事があるが、時間になってもなかなか移動されな…