やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『タックスヘイブンの闇』と島嶼国(3)

現代のタックスヘイブンの起源はブレトンウッズ会議にある事は以前書いた。 シャクソンの『タックスヘイブンの闇』にも1章を割いてその事が書いてある。 第4章 オフショアと正反対のもの ー 金融資本に対する戦いとケアンズ(94−116頁) ブレトンウッズ会…

『タックスヘイブンの闇』と島嶼国(2)

「タックスヘイブンとは何かについて、衆目の一致する見解はない。」と『タックスヘイブンの闇』の著者、シャクソン氏は書く。 そして本来租税回避だけを目的とするものではないので、この本では 「人や組織が他の法域の規則・法律・規制を回避するのに役立…

『タックスヘイブンの闇』と島嶼国(1)

評論家、江崎道朗氏がミクロネシア諸国が独立した背景には米国がこれらの小国をタックスヘイブンとして利用している事をYouTubeで暴露してしまった! これは知る人は語らない話。大物政治家も絡んでいる。怖い話なのです パナマペーパーなど山程ネタはあるの…

ルクセンブルグで行われる北朝鮮のマネロン

別件で『タックスヘブンの闇』(ニコラス・シャクソン著、朝日新聞出版社)を再度読んでいる。 太平洋島嶼国に関係ない、ルクセンブルグの話が出て来る。 2010年のニュースで北朝鮮の金正日は4千億円位マネロンしていたのでそうである!(同書26頁) Kim Jo…

トランプ大統領、ナウルを援助対象国からはずす

中国の進出も目覚ましいが、ロシアもしっかり太平洋地域に進出している。 ロシアは太平洋島嶼国にロシアが押す南オセチアとアブハジア承認をせまった。 ナウルが現在承認しているため、米国トランプ政権が援助対象国から外した、というニュースである。 Naur…

水産庁取締船「みはま」の活躍はパラオと米国政府しか公表せず

パラオEEZ監視活動。左から水産庁のみはま、豪州の供与した監視艇、USCGの船 この事業、国交省審議官だった羽生次郎元笹川平和財団会長から「余計なことしやがって!」と会長室で吊るし上げにあいながら立ち上げを支援したのだ。広大な太平洋海洋安全保障は…

夢ではなかった海洋議連での講演

今でも夢だったのではないか、と思う時がある。 海洋議連での講演。 最初評論家の江崎道朗氏から話があった時は単なる社交辞令かと思っていた。 ある日、本当に講演依頼が来た。ある日、本当に講演する事となった。 そして、当日、議連会長の古屋圭一議員、…

水産庁取締船、米国沿岸警備隊とパラオEEZ監視活動

前回取り上げたパラオの違法操業取締は、日本の水産庁取締船「みはま」の成果であった。 下記の画像を見て始めて知った。 米国沿岸警備と、豪州が供与したパラオの監視船、そして水産庁の監視船みはまが共同でパラオEEZ監視活動を実施。 下記Facebookの映像…

バヌアツとニューカレドニアの海洋境界紛争

Matthew and Hunterは地図右下にあります。私が日本国総理だったらバヌアツと海洋協力協定を締結し海底資源の調査管理を代行。バヌアツの教育・福祉向上につなげます。 太平洋島嶼国にも島を巡った海洋境界紛争がある。 良くニュースで目にしたのがバヌアツ…

PNAの公海管理に対するパプアニューギニア水産協会会長からの反対の声

公海の管理に関する興味深い記事である。 ナウル協定の会議がこの4月中旬、マーシャル諸島で開催され、公海での燃料補給を禁止する事で合意した。 これにパプアニューギニア水産協会のSylvester Pokajam氏が反対を表明。 普通は港で行う燃料補給を公海で実…

トンガの麻薬取締

パラオの麻薬の件を、ある席で話したばかりである。 パラオのあのペリリュー島で特に栽培が盛んで、子供達がほぼ全員服用していると、これはナカムラ大統領からお伺いしたし、新聞記事にも書いてあった記憶がある。 トンガ王国でも麻薬取締をしたとたん、次…

国連海洋会議に観る島嶼国の態度

アコラウ・トランスフォーム博士 THE UN OCEANS REGIONAL PREPARATORY CONFERENCE AND ITS IMPLICATIONS FOR THE PACIFIC ISLANDS STATES; SOME OBSERVATIONS Apr 20, 2017 http://sbmonline.sb/index.php/2017/04/20/un-oceans-regional-preparatory-confer…

パラオの中国人

この記事、以前取り上げた記憶があるが、見つからないので、再掲になるかもしれないが、書いておく。 Palau Chamber of Commerce sceptical over residency offer http://103.14.3.1/international/pacific-news/329199/palau-chamber-of-commerce-sceptical…

水研機構と米NOAAが連携協定、温暖化など共同研究

気になっていた日刊水産経済新聞の記事だ。 「水研機構と米NOAAが連携協定、温暖化など共同研究」 2017年4月20日 水産研究・教育機構と米国海洋大気庁海洋漁業局(NOAA/NMFS)は18日、漁業分野の研究協力について包括連携協定を締結した。水…

米国の遺跡保護法とメガ海洋保護区(2)パブコメ募集します!

トランプ大統領の遺跡保護法濫用見直し令。 パブリックコメントを募集することになった。 Interior Department Releases List of Monuments Under Review, Announces First-Ever Formal Public Comment Period for Antiquities Act Monuments OFFICE OF THE …

パラオで違法操業取締

パラオの海洋法警察が、フィリピンのまき網漁船を違法操業で拿捕したというニュースだ。 42トンのマグロを積んだ船は、パラオのアンガウルとソンソールの間で発見された。 8人の漁師は釈放されたが、マグロは没収。パラオの人々で分けたという。 さらに以前…

BBNJ-ベルギー政府交渉官のコメントが変?

BBNJの協議。海洋問題を知らないイデオロギーが強い、環境系が多い、と関係者から噂で聞いていた。 このベルギー政府の交渉官の記事を読んで、本当かもしれない、と思った。 Time for everyone to sign up for strong ocean governance By Sophie Mirgaux 20…

セキュリティダイアモンド構想と太平洋島サミットー島嶼国の位置

オーストロネシア語族の拡散 このゴールデンウィーク、二階俊博議員はフィジーとトンガに、佐藤正久議員はパプアニューギニアとソロモン諸島へ行かれた様子だ。 来年の太平洋島サミットへ向けた準備が進んでいる。 安倍首相の「セキュリティダイアモンド構想…

中国の支援に疑問 クック諸島野党からのコメント

中国からの支援が島嶼国の人々を幸せにし、支援する側の中国の人々にも益があれば良いのだろうが、そうとは限らない事が問題であり、それを島嶼国の人々が密かに話はしていても、支援を貰っている手前、あまり大きな声では言わない。 中国の太平洋進出のニュ…

「島の国際法上の地位」山本草二著

山本草二著「島の国際法上の地位」p. 398−443.『国際行政法の存立基盤』有斐閣、2016年。 日本語だし、チャチャと読めると思ったら1週間も時間を過ごしてしまった。集中しないと理解できないのだ。今日やっとまとまった時間が取れた。 それでも、ここにま…

米国の遺跡保護法とメガ海洋保護区(2)また出たデカプリオ!

オバマ大統領が州から、地域から奪い取った土地と水域がよくわかるアンチ保護区の資料。 クリックすると拡大します。 トランプ大統領の遺跡保護法濫用見直し令。 米国内に結構反対している人たちがいるのだ。 その一つがユタ州のナバホ族。 オバマ大統領と雑…

グアムの刑務所の3分の一はミクロネシア連邦出身者

土曜の朝から嫌なニュースばかりの紹介になってしまって、気が重いが、書いておくべきニュースがFacebookの方に溜まっているので、粛々とこちらのブログに書いて行きたい。 Facebookは便利だが検索とかできなくて、埋もれてしまうのだ。 さて、ミクロネシア…

珊瑚礁海戦75周年 ターンブル首相日本を恨むスピーチ

2時間近い全編はこちら。 https://www.youtube.com/watch?v=RhBRsr0A-Dg トランプ大統領のスピーチはこちら。これも拝聴しました。日本への恨みは一言もない! https://www.youtube.com/watch?v=_IAJA6IR5lo ルパード・マードックのスピーチ(日本人が参加…

フィジー軍、中国政府から約5億円の支援を受ける

フィジーのイノケ外相と在フィジー中国大使。イノケ外相のツィッターから。約5億円の軍事支援が行われた。在日大使で親日だったイノケ閣下は、日本は韓国と中国に悪魔的行いをした、と公言するほど反日なっている。一体日本政府はどのような対応をフィジー…

米領サモアに中国の不審船

ペンス副大統領が訪ねたばかりの米領サモア。 ここに不審な中国船が沿岸まで来ているという。 American Samoa investigates mysterious boat sightings 1 May 2017 http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/329814/american-samoa-investigates…

台湾海軍、パラオに親善訪問

5月7−9日、“Midshipmen Cruising and Training squadron” として台湾の艦船3隻(Flagship Pan-Shi, Frigate Si-Ning and Frigate Chang-Chien)がパラオに友好訪問する。 5月中旬にはソロモン諸島とのニュースもあったから、台湾と外交関係にあるマーシ…

米国の遺跡保護法とメガ海洋保護区(1)

4月26日にトランプ大統領がサインした1906年制定のAntiquties Act. (遺跡保護法)見直し令。太平洋の米領に拡大するメガ海洋保護区もその対象だ。 120日かけて評価作業が行われるようなので、そのプロセスをできるだけ追ってみたい。 米国の国内法の話だが…

時既に遅し?仏領ポリネシアは中国の手に!

仏領ポリネシアのHao Atoll ちょっとイエロージャーナリズムを見習って挑発的タイトルにしてみました! しかし、挑発ではないかもしれない。 先日ご紹介したCleo Paskal女史の「トンガの中国人殺し屋」の記事をきっかけにこのパスカル女史と情報交換をしてお…

陸海空軍タスクフォース”ジャンヌダルク”2017

佐世保に寄港した「陸海空軍タスクフォース”ジャンヌダルク”2017」 プレスキットがウェッブで読める。 dossier_de_presse_mission_jda_2017_uk-us (1) 2.pdf 2017年は始めて英米を招いた国際協力のタスクフォースであるとのこと。 開始は2017年2月28日からで…

「条約解釈の神話と現実」坂元茂樹著 読書メモ

海洋法に関する読書メモが増えそうなので新たなカテゴリーを設けた。 「海洋法」 この4月から同志社大学で坂元茂樹教授のご指導をいただける身分となった。 まだ3週間であるが、海洋法条約第121条の島の制度という短い条項に関連し、Symmonsの下記のペーパ…