やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

伝説の女性飛行士イアハート再燃(4)(追記あり)

どうやらトランプ大統領も述べたという、アメリア・イアハート失踪事件、日本軍処刑説が下記の「山猫男爵」により簡単に覆されたようである。 これは昭和10年にパラオの「二葉呉服」から出版された写真集。「海の生命線我が南洋の姿 : 南洋群島写真帖」にあ…

カール・シュミット『陸と海と 世界史的一考察』(3)

カール・シュミット『陸と海と 世界史的一考察』の目次11−20を下記にまとめる。 アレキサンダー大王とローマの植民地拡大はヨーロッパの空間革命を進めたが、ローマ帝国崩壊後はヨーロッパの空間の暗黒化と陸国化が何世紀も続く。その中で北部・中部イタ…

伝説の女性飛行士イアハート再燃(3)

アメリア・イアハートの件は、まだ議論が続いていて、気になっていたが、今回再燃した日本軍による処刑説を否定する記事が今日、7月9日付けで出た。 日本人の青木富貴子さんというイヤハートの本を書いた方にインタビューしている。 Amelia Earhart Capture…

カール・シュミット『陸と海と 世界史的一考察』(2)

まずシュミットは人間は陸を踏み歩む動物であり、その大地こそ本質的人間のエレメントであると定義する。興味深いのはポリネシア航海者を引用し「かれらには、大地から獲得されたわれわれの空間と時間についての観念は無縁であり、理解しえぬもの」(p. 12)…

伝説の女性飛行士イアハート再燃(2)

あまり関心がなかったアメリア・イアハート失踪事件。 日本軍に捕まって処刑された、というニュースが広まり、日本政府に情報を出させろ、というコメントまで出回っている。 知っている人は知っている案件だが、日本叩きが好きなのは日本人なので、見過ごす…

カール・シュミット『陸と海と 世界史的一考察』(1)

カール・シュミット『陸と海と 世界史的一考察』生松敬三 (翻訳), 前野光弘 (翻訳)、慈学社出版、2006年。 1942年にシュミットが一人娘アニマに語る、として書いたこの本を3回読んだ。 最初はヨーロッパ中心の偏見に充ちた文章と感じたが、国際法自体がヨー…

伝説の女性飛行士イアハート再燃

今日も早朝からタタタッとカール・シュミットを書いて、午後は安全保障学会の予定が、米国のイエロージャーナリズムに邪魔された結果となっている。 日本語のニュースにもなっているが1937年太平洋で忽然と姿を消した米国の女性飛行士アメリア・イアハートが…

パシフィックソルーションの問題

Boat arrivals in Australia since 1976, Stastical appendix updated 23 July 2013 http://www.aph.gov.au/about_parliament/parliamentary_departments/parliamentary_library/pubs/bn/2012-2013/boatarrivals から 年間数千から数万人の違法移民がオース…

王様がパスポートを売り、大統領が麻薬を売る(3)

ニュージーランド政府が約3億円かけて、太平洋島嶼国で行われているマネーロンダリング撲滅に動くというニュースである。 NZ boosts anti-money laundering initiatives in Pacific http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/333564/nz-boosts-…

NZ太平洋季節労働者受入制度10周年会議

太平洋島嶼国からの季節労働者受入拡大を!ツバル首相 確か、先般島嶼議連から麻生財務大臣、岸田外務大臣に提出された要望の中に太平洋島嶼国からの労働者受入が入っていた。実はこの制度はニュージーランドが10年前、2007年に開始し、当初後ろ向きであった…

カール・シュミットとは何者か?

カール・シュミットとは何者か? シュミットが10歳の一人娘アニマに語った『陸と海と — 世界史的一考察』を紹介する前に、長尾龍一教授の「カール・シュミットの死 — 政治的終末論の行方」という小論をこのタイトルをそのまま題にした書籍『カール・シュミッ…

京都寺町通りの横井小楠の碑

後藤新平の日本膨張論に出てきた横井小楠。 いつも通る、同志社大学への通学路上に、暗殺された場所があって碑が立っている。 昭和7年に再建、とあるから1932年。新渡戸が亡くなる前年だ。 少なくともその頃までは多くの人の記憶にあったのであろう。 『国…

カール・シュミット『陸と海と 世界史的一考察』

カール・シュミット『陸と海と 世界史的一考察』生松 敬三 (翻訳), 前野 光弘 (翻訳)、慈学社出版、2006年。 1942年、第二次世界大戦の最中に出版された本である。 扉の頁には「わが娘マニアに語る」と書かれているが1942年、シュミットの一人娘のマニアは10…

『ハワイに渡った海賊達』(2007年、堀雅昭著、弦書房)

「ハワイの漁業開祖は瀬戸の海賊!」 と2つのブログをあげたが、『ハワイに渡った海賊達』の返却日が過ぎていたので、慌てて後半分を読み終えた。 筆者の堀雅昭さんは学者ではなく、山口大学理学部を卒業後、一度製薬会社研究の職につかれたようだが、辞め…

パプアニューギニアの通信産業とHuawai

パプアニューギニアの国番号からかかって来る電話の件が話題に。。 今日はカール・シュミットを読むので詳しく書けないが、中国のHuawayがかなりパプアニューギニアの通信産業に浸透している。 関連記事のリストだけ。 Huawei to build PNG submarine cable …

海洋状況把握(MDA)、Ocean Observationなど

昨日上げた「次期海洋基本計画」に向けた安倍総理のコメントに 「海上保安体制の強化はもとより、様々な脅威・リスクの早期察知に資する海洋状況把握(MDA)体制」 という一文があって思い出したのがG7の合意だ。 大分前にフランスの海洋政策関係者から指…

次期海洋基本計画の策定について

次期海洋基本計画へ向けた総理のコメント。 下線は当方。 下線の箇所は太平洋島嶼国支援として、米、豪、NZ、仏、と共に実施して欲しい。 ○ 総合海洋政策本部会合 第16回 平成29年4月7日 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou/kaisai.html から 平…

セレブリティ外交と海洋法

海洋問題を扱う中で関心を持ったのが、パラオの海洋に集まる、というか群がる世界のセレブだ。 レオ・ディカプリオ、豪州の鉄鋼王、モナコ大公、バージンエアのブランソン 。。。 海洋の専門家の意見よりも、これらの素人の意見が優先され、それで国内の海洋…

島嶼議連の要請に歓喜するであろうハリス司令官

先般、麻生財務大臣と岸田外務大臣に提出された島嶼議連からの要請内容に歓喜したのは私だけでななかった。 太平洋軍のハリス司令官がたこの要請内容を「もし知れば」私以上に歓喜するであろう。 米国政府が10年に渡ってペンディングにしている、パラオへの…

中国軍艦、バヌアツを訪問

今年、バヌアツ共和国と外交樹立35周年を迎える中国の軍艦がお祝いにかけつけるとの記事をみかけたが、上記の江凱型フリゲート2隻が6月24日、バヌアツに入港したとのニュースである。 PM, officials and local Chinese community welcome officers and cre…

PNAの今後

70年代に、即ち第3次国連海洋会議の協議の最中に次々と独立した太平洋島嶼国の思惑は、その広大なEEZから得られる水産資源への期待、があったのだ。 これはきちんと調べて行けば証明できると思う。 1971年に設立された太平洋諸島フォーラムの重要議案が水産…

ハワイの漁業開祖は瀬戸の海賊!その2

瀬戸内海の村上水軍を訪ねた事をきっかけに『ハワイに渡った海賊達』(2007年、堀雅昭著、弦書房)を読んでいる、のだが芋づる式に出てきた資料に道が逸れている。 瀬戸内海の海賊の末裔はハワイに渡って、漁業の開祖となったのである! 小川 真和子 「ハワ…

離島の開発ー医療・教育

小島嶼国の課題は人口問題と離島開発である。 首都のある島でさえもその開発維持は困難なのに、離島の開発は不可能に近い。 そうすると人口が都市に集中し、資源管理だけなく社会問題が発生する。これが基本的問題であり気候変動や海面上昇というのは、否定…

王様がパスポートを売り、大統領が麻薬を売る(2)

(この「王様がパスポートを売り、大統領が麻薬を売る」シリーズ。島嶼国の政治家叩きではありません。私が島嶼国の政治家であれば同じ事をしていたでしょう。小島嶼国がサバイバルするにはそうするしか方法がないのです。しかし、少なくとも日本外務省知っ…

ハワイの漁業開祖は瀬戸の海賊!

瀬戸内海の村上水軍を訪ねた事をきっかけに『ハワイに渡った海賊達』(2007年、堀雅昭著、弦書房)を読んでいる。海洋法関連の資料を読みながらなので、まだ半分程度しか読み進めていないが面白い! ハワイの漁業元祖も日本人だった。しかもハワイに移民した…