偶夜偶冊
以前から気になっていた伊藤隆著『歴史と私』を読んだ。 「今でも、あれは夢じゃないかと思います。」 で始まり、 「そして、やはり思うのです。あれは夢はないか、と。」 で終わる「まえがき」を読んで一気にこの本に引き込まれてしまった。 今上天皇は伊藤…
1998年に『笹川良一研究』を出版した佐藤誠三郎氏は、翌年の1999年にその続編とも言える『正翼の男』を出版している。そして同年11月に亡くなられているので、佐藤誠三郎氏にとって笹川良一研究が最後のテーマだった、という事であろうか? 『正翼の男』も手…
黒人問題は、ジャズ以外には関心がなかった。 博論で「羅生門効果」を議論したくて、その資料を探していただけなのだ。 偶然見つけたBlack movementにおける日本人の役割。 読みたかった『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(出井康博著、2008…
沖縄旅行の鞄に入れたもう一冊は、マーガレット•マクミランの『誘惑する歴史』に比べ重い内容である。 EHカー著『歴史とは何か』 読破してまとめる力がない。 よって、「歴史にif はない」と誤用、濫用されている点だけ指摘したい。 ifで歴史を検討しなけれ…
沖縄旅行の鞄に数冊の本を入れた。 その一冊がマーガレット•マクミランの『誘惑する歴史』 ベルサイユ会議を扱った"Paris 1919"の中で「民族自決」という現在の小国が誕生するきっかけともなった危うい提案をしたウィルソンをフルボッコしている。彼女の歴史…
今年、自民党の稲田議員が東京裁判を検証する勉強会を立ち上げる事を発言された後、多くの批判が、特に学者からの批判が出ている事に驚いた。 なんだか地球は回っていると唱えて宗教裁判にかけるレベルと同じではないか。。 検証とは黒白つける話ではない。…
何を知ってるか、という事より、どこに書かれているか、誰が知っているか、を知っている事の方が重要だと思っている。 よって千葉大学付属中学校の詰め込み式教育は早々に辞退した。 太平洋に於ける西洋の航海と植民をまとめた本で『太平洋探検史ー幻の大陸…
とうとう矢内原忠雄全集の植民地政策を扱った1−5巻を購入してしまった。 やはり線を引きたいし、コメントを書き残しておきたい。 何よりも矢内原先生の文章は難しくて何度も読み返す必要があるのだ。新渡戸先生の文章は明解なのに、なんで矢内原先生はこん…
『宿命の子』には役所との関係が書かれている。 外務省事務次官の柳井俊二氏の対応が書かれている。 「それで陽平は張成沢との交渉の中身を伝えたが、「ほう、そうですか」のひとことで済まされた。柳井の態度は、困惑というより冷淡で、不吉な予感に陽平は…
松井孝治さんの「橋本行革の決定と挑戦」 橋本行政改革。総理府(当時)系の青少年組織の幹部をしていた時だったので、その動きは感じていた。しかし、この改革が30代の若手官僚松井氏の発案であった事は始めて知った。こういう大事をする松井氏もスゴイと思…
今年の一年の計は百周年を迎える「第一次世界大戦」にした。 最近、マーガレット•マクミランを知り"Peacemakers: The Paris Peace Conference of 1919 and Its Attempt to End War"(英文)を手にした。厚い!5センチ位ある。 全部読むのはあきらめてForwar…
『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』 笹川会長がブログで推薦していた同書を手に取った。 ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム こんなのは始めて知った。日本人の特殊性。日本人が好きな日本人論の原点はこの 「…
東日本大震災で自衛隊が米軍と共に活躍しているのニュースで聞いていた。 元海上自衛隊の高嶋博視氏がその詳細を本にされた事をツイッターで知り、『武人の本懐』を手にした。 無法地帯と化してる太平洋の海に日本のシーパワーが出て行く事を期待しているし…
小室直樹さんの著書で知った『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』。 実は10年ほど前に入手したのだが、どうせ読んでもわからないと思って開いた事はなかった。 しかし、ビリオネラーと知り合いになったり、経済開発論を扱うようになって、やっ…
フィールドワークを予定しているバヌアツの、同国政府からの許可がやっと取れ、今度は自分の大学の倫理委員会の審査に臨む事となった。ヤレヤレ。長い道のりだ。 それで思い出したのがずっと以前に購入した『南太平洋における 土地・観光・文化』。 著者白川…
昔、心理学者の友人に薦められて買ったエーリッヒ・フロム著『愛するということ』。 一度読んで、あまり印象に残らず本棚にあった。 フロムは『自由からの逃走』の方が印象に残っていつも自由について考える時に思いめぐらした。 アドラー心理学の本を探して…
『シュリーマン旅行記 清国・日本』ハインリッヒ・シュリーマン著 石井和子訳 講談社 (1998/4/10) 「トロイの木馬のシュリーマン」が幕末の日本を訪ねていた。 浅草のお寺で、花魁の絵姿と仏像が並んで飾られている様子を見てシュリーマンはしばらく立ち尽く…
『アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか』菅原 出 (著) 出版社: 草思社 第一次大戦で大敗し、過酷な条件を押し付けられたドイツを支えたのは米国である。 ダレスが、ケネディの父がナチスを、ヒトラーを必要とし、支えてきた驚愕の事実が書かれている。 …
『南洋群島と帝国・国際秩序』浅野豊美編集 慈学社出版 2007年 この本は私にとって特別な本である。 表装と内装に使用されているパラオの写真を提供させていただいたからだ。 何の気もなく撮影した写真だったが、渡辺昭夫先生のところでご覧になった浅野…
50近くで得た人との出会いは、10代20代30代とはまた違った、奥の深いものがあるように思う。 最近、外国の方から日本を学ぶ機会が多い。 学ぶというか、気づかせてもらう、と言った方がよいかもしれない。 米国、ワシントン大学のレベッカ•コープランド教授…
50近くになっても人生色々な出会いがあるものだ。 最近、ご近所に引っ越された方から京都と江戸の共通点を示す題材として、ナント! 『男はつらいよ、寅次郎あじさいの恋』をご紹介いただいた。 寅さん、懐かしいなあ。テレビでよく観ていた。 しかも、ただ…
山形浩生さんの密かなファンである。 内緒だけれど(この方敵が多そうなので)山形浩生さんなしでは経済の話に入れなかった、と思う。感謝。 さて、海洋安全保障のお仕事をする上で、「海賊」というのは一つのキーワードのようだ。 前のブログに国家の略奪行…
『帝国主義研究』矢内原忠雄著(1948) 白日書院 (なお、同書には現代では適切でない表現があるがそのまま使用します。) 19世紀後半から20世紀始め、日本のベストアンドブライテストが太平洋の小さな島々を研究していた。 東大総長になった矢内原忠雄もその…
太平洋で仕事をしていると、日本は戦争に負けたんだ、その負の遺産を未だに背負っている、ということを痛感せざるを得ない。 太平洋の国際地域機関SPC, PIF, FFA, SOPAC, USP, TCSP, SPREP, PIDP, 日本はお金だけ出してどこにもそのメンバーシップはない。 …
稲村公望さんとの出会いがなかったら、島の仕事も情報通信の研究も続けていなかった、と思う。下衆の皆さんには言っておくけれど稲村さんとは親戚でも愛人でもありません。 稲村さんは奄美徳之島出身。総務省大臣官房審議官、日本郵政公社常務理事をつとめら…
訳あって、経済学の本を読んでいる。 いろいろ探したところ小田中直樹著『ライブ・経済学の歴史』(勁草書房2005)に巡り会った。 まえがきに、著者が大学生のころGNPの定義と算出式がわからなかったこと、教授されている今に至るまで正確に知らない、と述べ…
『京都 影の権力者たち』読売新聞京都総局 講談社 1994年 本との出会いは、人のそれと同じように様々である。 この本との出会いは不思議な巡り合わせだった。 昨年暮れに京都の錦を歩いていたら、脇道の喫茶店の前に本が山高く積まれていたのを見つけ横に逸…
小室直樹と出会ったのは高校生の時だった。講談調の文章は読みやすくいろいろ読んで飽きてしまったが、一昨年の訃報を聞き、どんな方であったか初めて知り、再び関心を持ち出した。 http://youtu.be/S-aC9KL8PXs http://youtu.be/YVc_earsLGA まずは天皇論か…
『官僚に学ぶ仕事術』 久保田崇著 マイコミ新書 『16倍速仕事術』 本山勝寛著 光文社 立て続けに、30代の久保田氏、本山氏の仕事術を拝読した。 片や中堅官僚(現在陸前高田市副市長)、片やNGO職員。不思議な事に内容はシンクロナイズしている。 時間の使い…
『繁栄と衰退と ー オランダ史に日本が見える』岡崎久彦著 UNCLOSが基盤としているのがグロティウスの「自由海論」で、そのグロティウスを生んだオランダの特殊な立場や歴史を知りたくなった。 岡崎久彦著『繁栄と衰退と ー オランダ史に日本が見える』はEll…