やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

未来に魚を残そう

PNAの公海管理に対するパプアニューギニア水産協会会長からの反対の声

公海の管理に関する興味深い記事である。 ナウル協定の会議がこの4月中旬、マーシャル諸島で開催され、公海での燃料補給を禁止する事で合意した。 これにパプアニューギニア水産協会のSylvester Pokajam氏が反対を表明。 普通は港で行う燃料補給を公海で実…

国連海洋会議に観る島嶼国の態度

アコラウ・トランスフォーム博士 THE UN OCEANS REGIONAL PREPARATORY CONFERENCE AND ITS IMPLICATIONS FOR THE PACIFIC ISLANDS STATES; SOME OBSERVATIONS Apr 20, 2017 http://sbmonline.sb/index.php/2017/04/20/un-oceans-regional-preparatory-confer…

水研機構と米NOAAが連携協定、温暖化など共同研究

気になっていた日刊水産経済新聞の記事だ。 「水研機構と米NOAAが連携協定、温暖化など共同研究」 2017年4月20日 水産研究・教育機構と米国海洋大気庁海洋漁業局(NOAA/NMFS)は18日、漁業分野の研究協力について包括連携協定を締結した。水…

VDS反対論

VDS政策撤廃を、水産庁にいた小松正之さん(現在東京財団上席研究員)が述べている。 「VDS価格は08年から11年まで1日当たり1200~2500㌦。15年からは8000㌦となった。島嶼国のVDS収入は、ミクロネシアでは国家収入の約40%、キリバスでは…

クロマグロ資源は回復する

ご静養中の天皇皇后両陛下がウナギの研究施設など視察 とのニュース。 ハゼ研究家の天皇陛下は水産資源への関心が誰よりも高いのではないだろうか? ハゼに関する天皇陛下のご様子をそこに居合わせた方から聞く事があるが、時間になってもなかなか移動されな…

イエロージャーナリズムとは何か?

パラオ在住の英国人写真報道家やPEWのイエロージャーナリズムをブログで取り上げている。 昨日、「イエロージャーナリズムとは何か?」と質問を受けたので、簡単に書いておきたい。 下記はwikiの記述である。 多彩な形容詞と誇張の使用や、迅速さを優先して…

マグロ初競りを利用したPEWのイエロージャーナリズム

この記事を見た時、またやってるのか、と思った。 PEWがプロパガンダNGOである事は私自身がPEWを実際に知る前から多くの太平洋島嶼国のNGOや関係者から聞いて来た。 パラオの海洋保護区を巡る彼等の動きを観察する中でいよいよ確信し、PEWのSNSを追う中でそ…

WCPFC - 太平洋島嶼国は遠洋漁業を知らない

昨晩あげたWCPFCに関する2つのニュースに多くのアクセスがあったので、これも確認のために書いておきたい。 ミクロネシアの海上保安事業を通して、太平洋島嶼国の水産業を知る機会を得た。 そこで改めて認識したのが、太平洋島嶼国は水産業を、遠洋漁業を自…

WCPFC - 違法漁船ベトナムのブルーボート

12月5−9日、フィジーで開催されたWCPFC総会で議論され、ニュースに取り上げられていたのが、通称ブルーボートと呼ばれる、違法漁船である。 昨年、パラオ海洋警察が海上で爆破しニュースになった。(ニュースにしたのは以前紹介した英国人イエロージャーナリ…

EEZのお魚は誰のモノ?

布施明さん、まだ御活躍でした!EEZを考えるときのバックグラウンドミュージックは「海をみつめて」にしよう! 今年9月、同志社大学の坂元教授から、パラオの80%商業漁業禁止の海洋保護区は国連海洋法条約、UNCLOSに反すると伺って、まだショックを受けて…

中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第13回年次会合本日キックオフ!

Jemima Garrett記者のFBから、WCPFC開会式! 豚さんが!トンガで雅子妃殿下も召し上がれましたね。皮がパリパリで美味しいのよ。 今日から中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第13回年次会合がフィジーで開催される。 大勢のメディアがFBで、現場の議論をライ…

WCPFCに参加するNGOs その2

前回はWCPFCに参加するNGOsについてWCPFC事務局が作成したレビューを紹介した。 12月5日からフィジーで開催されるWCPFC。NGO参加に関してもう一つ、下記のペーパーが International Environmental Law ProjectというNGOから提出されている。同プロジェクト…

WCPFCに参加するNGOs

WCPFC - 中西部太平洋まぐろ類委員会 英語の正式名は長い。 Commission for the Conservation and Management of Highly Migratory Fish Stocks in the Western and Central Pacific Ocean 12月5日からフィジーで開催される第13回総会には44のNGOが参加…

太平洋の水産資源管理とNGOの役割

今月12月にフィジーで開催されるWCPFC第13回総会が熱い!暑い!そして厚い! まず目にしたのが、漁獲制限の煽りを受けて閉鎖を決定した米領サモアの缶詰工場の関連ニュース。 U.S. Fishing Fleet Prepares To Fight For Fishing Rights In Pacific American …

お魚は枯渇しない?

太平洋の海洋問題を扱う中で、水産資源が枯渇する、そんな情報に接する事も多く、漁業問題もなんとなくカバーしてきた。 水産資源保護派、東京海洋大学の勝川氏と、水産資源と漁師さん両方の保護を目指す水産庁、さらにはプロパガンダNGO の欧米の環境団体な…

サモアツナ缶工場閉鎖に追い込む海洋保護区とPNAのVDS

ツナ缶工場で経済が成り立っているアメリカ領サモア。 この工場が操業を停止する方向であるという。 原因は十分なマグロが補給されないこと。 なぜか? 記事にはないが、一つはキリバスなどメガ海洋保護区の制定で漁業ができないこと。 もう一つはPNAのVDS。…

パラオ海洋保護区への水産庁の答え

今度日本のODAで建設されるシャコガイ養殖場 パラオに約7億円をかけた、シャコガイ養殖場が日本のODAであたらに建設される。 これは、レメンゲサウ大統領が主導する海洋保護区に対する一つの水産庁からの回答ではなかろうか? パラオが商業漁業を禁止する保…

映画タイタニック監督PEWの手先となる!

魚の話が続きます。 PEWがしかけてマオリが反対しているニュージーランドの海洋保護区。ケルマデック諸島海洋公園。 その後どうなっているか、と検索したら興味深い記事を見つけた。 ニュージーランドヘラルド紙GJ。 Hollywood director James Cameron makes…

太平洋マグロ協会Te Vaka Moana、 IUCNの海洋保護区を一刀両断

パラオのレメンゲサウ大統領がハワイで開催されたIUCN開会スピーチで、パラオの80%海洋保護区を自画自賛し、世界に30%の海洋保護区制定を呼びかけた事は以前ブログに書いた。 オバマ大統領に説教するレメンゲザウ大統領(3) - やしの実通信 by Dr Rieko …

米国と太平洋島嶼国の関係を崩壊させたPNAのVDS

人の足下を見た、太平洋島嶼国の漁業管理政策が米国と太平洋島嶼国の関係を崩壊させた話である。 US pulls out of Pacific fisheries treaty Giff Johnson 19 January 2016 http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/294458/us-pulls-out-of-pac…

娘と語る水産資源 ー 貴船鮎の塩焼き

普段は一杯10円から30円のパンプキンポタージュ、と書くとかっこいいが、要はカボチャ汁の我が家であるが、年に一度位はと思い、貴船の川床で鮎の懐石ランチ、3,450円コースを娘といただいた。 母「これでパンプキンポタージュが100杯以上の値段だよ。」 母…

クロマグロ管理は米国の言いなりか?

一橋大学で開催されたアマルティア・センの学会開催中、WCPFCの気になるクロマグロ管理会合が8月29日から9月2日まで福岡で開催されていた。 議長は宮原さんだ。今回は太平洋の東半分を管理する全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)との合同開催。 日本が主導す…

違法操業をしているのは太平洋島嶼国?

違法操業をしているのが太平洋島嶼国である、というのはニュースにもなっているのだが、あまり知られていない。 7月21日付けのバヌアツデイリーポストのニュース。 Vanuatu receives FAO award for fighting IUU fishing PORT VILA, 21 JULY 2016 (VANUATU …

太平洋に蔓延る環境NGOs

太平洋は環境NGOの天国である。 GPやSS, 柔らかいところでFOE, PEW, CI, TNC。 自分も何人かとつきあってみたが、生半可な知識と体制批判のポジション。特に小国を食い物にする様子は、まさにネオコロニズム。 知人からの示された4つのタイプは納得! 1.…

マグロと民族自決

クロマグロとレーニンで過ごした週末があった。 民族自決とマグロの関係を思いめぐらした週末だった。 週末はレーニンとクロマグロ - やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa ナント!ソロモン諸島で開催されている会議でPNAの事務局長Dr Transform Aqorauが「マ…

ゆすりたかりの島嶼国

<カツオ漁船拿捕の結末> 昨年このブログで報告した日本カツオ漁船拿捕の件を再度書く事にしたのは、ミクロネシア連邦スキリング前司法長官によって起訴された日本漁船の裁判に決着が着いたとの噂が入ってきたからだ。 この件の詳細を追っているのは当方だ…

馬鹿の一つ覚え ー 水産庁叩き(5)

水産庁叩きシリーズ最終回。 ミクロネシア連邦のカツオ漁船拿捕事件で、国内の漁師さんともパイプが出来た。 勝川教、即ち資源保護推進で改革派の学者さんの話と、 宮原教、即ち資源保護推進で保守派の水産庁官僚の話を聞く機会を得たが 現場の声が一番重要…

馬鹿の一つ覚え ー 水産庁叩き(4)

勝川さんと壱岐の漁師さんたちが主張しているのは、卵を産みに来た成魚は年寄り母さんであろうと穫らないでおこう、という案だと当方は理解しています。日本の沿岸はクロマグロの産卵地なのだ。 参考:将来懸念、管理強化訴え 漁業者ら「マグロサミット」5…

馬鹿の一つ覚え ー 水産庁叩き(3)

クロマグロの受精卵と稚魚(水産研のウェッブより) http://www.fra.affrc.go.jp/cooperation/tuna_egg/index.html それでは本当に水産庁は水産資源管理に対し、無為無策なのであろうか? 宮原氏によると、確かに漁場を増やそうという努力はしてきたが資源管…

馬鹿の一つ覚え ー 水産庁叩き(2)

一週間もしないうちに宮原さんから連絡が。。 「早川さんに言われて目が覚めました」とは言わなかった。 「早川さんの美貌に負けました。」とも、言わなかった。 パラオへの監視艇派遣を進めたいので協力して欲しい、という事であった。 水産庁、OFCFといよ…