やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

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アマルティア・セン 持続可能ーその方法と目的

Sustainability 「持続可能な開発」が花盛りである。 しかし、このSustainabilityと開発についてどれだけ質的に議論されているのか疑問だ。 アマルティア・センの論考をたまたま見つけた。 "The Ends and Means of Sustainability" Journal of Human Develop…

パラオへの中国人団体旅行禁止令

中国政府が、先週パラオへの団体旅行を禁止する事を発表しようだ。英語のニュースは上記のパラオの新聞しかなく、その信憑性も含め気になったのでTWお友達の黒色中国さんに聞いてみた。 中国語では結構出ているようで本当の話のようだ。 ニュースには「パラ…

日本の太平洋へのODA

日本の太平洋島嶼国へのODAは2国間支援の金額は年間100億円強。ODA全体のわずか1%強である。 が、太平洋島嶼国の中ではトップ3なのよ、と書いたら証拠数字を出せと言われた。 外務省のホームページから拾って表にしてみました。 面白い結果が。。 日本は…

太平洋島嶼国の人口問題(3)年齢別人口比率

レーニンとクロマグロで忘れていましたが、太平洋島嶼国の人口問題でもう一点だけ書いておきたい内容があります。 それは、青少年人口が占める比率が非常に高い事です。 教育を受けられず、職もない若者が増えれば国はどうなるか? また、離島の開発が進まな…

Smaller Island States of the Pacific Islands Forum

太平洋島嶼国の中でも人口が10万に以下の島嶼国7か国を集めたSmaller Island States of the Pacific Islands Forumの会議が6月24日、パラオで開催された。 7カ国とは下記の通り。 クック諸島、人口15,300 キリバス、人口113,400 ナウル、 人口10,900 …

太平洋島嶼国の人口問題(2)人口成長率

前回は、太平洋島嶼国と一言で言ってもその人口配分はメラネシア4国(パプアニューギニア、フィジー、ソロモン諸島、バヌアツ)に大きく偏っており94%を占める事を指摘した。 yashinominews.hatenablog.com 人口成長率はどうか? データは前回同様SPCの…

太平洋島嶼国の人口問題

通称SPC - 1947年に設立された太平洋最古の地域政府間機関である。 北太平洋のミクロネシア諸国が独立しそのメンバーに入る前は南太平洋委員会、South Pacific Commission と名乗っていたが、現在は「南」が取れて1998年から太平洋共同体事務局 Secretariate…

ヌスバウム博士京都賞受賞!

6月17日、マーサ・クレイブン・ヌスバウム博士が京都賞を受章とのニュースが流れた。 京都賞は知らなかったがヌスバウム博士はお名前は、自分の博論で散々目にした方である。 http://www.kyotoprize.org/laureates/martha_craven_nussbaum/ 京都賞とは稲盛…

原子力の平和利用 ー バンドン会議の非核声明

原子力の平和利用を唱えたのは1955年に開催されたバンドン会議だった。 1955年太平洋島嶼国はまだ独立していず参加していない。 会議の声明文“declaration on promotion of world peace and cooperation” の中に非核に関するコメントがある。 この声明から60…

ヒューズ、メイヤー、トンガ、笹川良一、ケネディ、ニクソン

トンガと笹川良一氏の関係を調べていたら見つけた情報。 タックスヘブンとも関係して来る。いつか、必要になれば、調べたい。笹川良一氏は太平洋島嶼国のタックスヘブンの構図を一気に読み取ったのであろう。その点においてタックスヘブン(近代的植民地制度…

パナマペーパーと太平洋島嶼国(3)

世の中のパナマペーパー、及びタックスヘブンの取り上げ方がずれているように見える。もしや自分の方がズレているのでは?と、このテーマの3回目を書くのをためらっていたが、下記の2つの情報が元気づけてくれた。 まずはインデペンデントの下記の記事。 "…

強化されるADBからの太平洋島嶼国支援

ミクロネシア連邦、キリバス、マーシャル諸島、ナウル、パラオ、ツバルの6カ国は、ADBから受け取るグラントが、来年2017年から2倍になるとのニュースである。 Six Pacific countries to receive double their annual grants from the ADB from next year B…

パナマペーパーと太平洋島嶼国(2)

<メキシコの麻薬王、ロシア最大の税金不正行為に手を貸すキーウィ> 太平洋の楽園の島に蔓延るタックスヘブン。 悪いのはサモアでもニウエでもないんです。税金逃れをしたい、英国、豪州、NZのお金持ち達。 タックスヘブンの資料を見ていると意外とニュージ…

パナマペーパーと太平洋島嶼国(1)

ペンディングにしていたパナマペーパーと太平洋島嶼国。 今週何回かに分けて書きたいと思います。 このブログの読者はご存知の通り、太平洋島嶼国といえば、タックスヘブン、マネロン、便宜置籍船等々主権ビジネスが蔓延っています。 パナマペーパーにもしっ…

『東南アジアの解放と日本の遺産』- 鈴木大佐

アジアの独立を導いた日本軍。 アジアの人々を酷使し死に追いやった日本軍。 この天使と悪魔のような対照的な記述の違いがどこから来るのか、理解できなかった。 レブラ博士著の『東南アジアの解放と日本の遺産』はこの当方のここ数年の疑問を一気に紐解いて…

『東南アジアの解放と日本の遺産』ジョイス・C・レブラ著 秀英書房 1981年

絶版となっている同書を得るため、諭吉さん一人とのお別れする事に。 日本軍がアジア諸国の独立を導いた、という話は色々なところで目にしていたが、ライシャワー氏の下で日本史を学んだジョイス・C・レブラ博士が同書に書かれている事は、平間洋一先生の『…

ユニバーサルサービス精神と最澄の「一隅を照らす」

桜が満開の比叡山に海外からの友人を案内した。 比叡山延暦寺に咲くスミレ 比叡山はこれが4回目位ではなかろうか? 今回は山桜の静寂に包まれる余裕があった。 伝教大師最澄の『山家学生式』に「一隅を照らす」があるのを始めて知った。 「一隅を照らす」と…

パラオの水不足支援で学んだパラオのインフラ課題

パラオの水不足問題に、高須院長が支援をされる事になり、きっかけを作らせていただいた手前、余計な事と思いつつ勝手にフォローさせていただいている。 よって、パラオの水不足情報にも目を光らせている。 昨日、一昨日とパラオは久しぶりにまとまった雨が…

パラオの水不足支援で学んだ赤十字の仕組み

このブログがきっかけで、高須院長が水不足に悩むパラオのために300万円を日赤を通してパラオの赤十字に寄付された。 早速、パラオの赤十字会長アサヌマ氏、パラオ柔道連合のジェニファー、そしてパラオのメディアの友人達にも知らせた。 当方の友人でも…

パラオの水問題と大統領選

人生、本当に何が幸いするかわからない。 このブログでパラオの水問題を取り上げたところ、高須クリニックの高須院長からパラオの子供達に水を送りたい!とTweetがあった。 高須院長の動きが当方のブログがきっかけだったのと、少々気になる点があったので、…

パラオの水不足問題 ー 高須院長赤十字に3百万円寄付!

このブログでお伝えしてているパラオの水不足。 早速、高須クリニックの高須院長から水を送りたい!とtweetされました。 現地ニーズの確認をしていましたが、昨日4月12日高須院長が3百万円日本赤十字を通してパラオの子供達のために、と寄付をされました…

パラオの水不足問題 台湾、イスラエル、米軍も支援!

4月11日のPacific Noteのニュースです。 日本政府JICAの支援意外に、台湾から7トンの飲料水が運ばれている。 グアムのパラオ協会からは20-foot containerの飲料水が発送準備完了。 米軍がportable water systems の支援を検討 イスラエル政府からは2つの"…

パラオの水不足問題(4月7日付情報)

多分、高須先生がパラオの水不足を支援したい!とツイートされているからだと思いますが、ブログへのアクセスが急増しています。 下記4月7日付け、パラオのNational Emergency Committeeの発表です。 在日パラオ大使館が正式な情報を出すと思います。この…

パラオの水不足。現地ヒアリング情報

パラオ現地の知り合いから水不足の問題に関する情報が入ってきます。 しかし、下記は非公式な情報ですので、基本は在日パラオ大使館などの公式情報をご参照下さい。 http://palauembassy.or.jp/blog/2016/04/extreme-drought-2/#.VwgN6jbhA9c - 水は現在、バ…

水不足が深刻なパラオ。日本からのタンクが届く!(追記)

水不足が深刻なパラオ。日本からのタンクが届いたそうです! (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0]; if (d.getElementById(id)) return; js = d.createElement(s); js.id = id; js.src = "//connect.facebook.net/ja_JP/sdk.js…

英国国土3分の1は貴族様のもの! その2

英国の国土の3分の一が貴族様の所有であることを、滞在先のオックスフォード大学教授と話した中で、大きく気になる点があった。書いておきたい。 冗談半分で、英国の土地改革には世界最強の日本共産党が必要だ、と合意した後、当方から 「英国のアカデミズ…

英国国土3分の1は貴族様のもの!

エゲレス滞在、1週間が経つ。 もういい、この事実を知っただけで。 革命もなく、日本のような敗戦もなかった英国。 未だ国土の3分の一は貴族が所有しているのである! "Look who owns Britain: A third of the country STILL belongs to the aristocracy" …

大英帝国の憂鬱

今回の英国滞在は、考古学者の愚夫のおかげで、オランダ、英国の歴史学者、考古学者等々と話をする機会を得た。 オランダの学者さんに 「オランダと日本は400年の歴史があるんですよね。」 と振ったら、シーボルトの話になって、急に顔色が変わり、 「もしか…

欧州へ - The City 小島嶼国誕生の起源

パラオ出張の後、欧州に来ている。 当方の関心は小島嶼国誕生の起源と推測しているThe Cityの存在。 パラオ、その他島嶼国のタックスヘブン、マネロン、海洋保護を隠れ蓑にした信託基金等々越境金融システムの元祖。 ロンドンのThe Cityを理解できずに、島嶼…

99年リースは誰のため?

今回のパラオ訪問では、一昨年から急増した中国人観光客の影響について直接観察する機会はなかった。 しかし、現地のメディア関係者と面談する機会があり、貴重な話が聞けた。 大陸中国人のパラオへの影響は観光客の増加だけでなく、パラオの土地建物を99…