やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

唯一の被爆国とラロトンガ条約

唯一の被爆国とラロトンガ条約

 鳩山首相笹川陽平会長も渡辺昭夫先生までも「唯一の被爆国」と言っているので、それは核実験を含まないという前提の認識があるのかもしれない。

 太平洋と言えばビキニ、ムルロアの核実験である。戦後、英仏米が太平洋で実施した核実験は300回以上。

 太平洋諸島フォーラムは1985年に南太平洋非核地帯条約を発効。クック諸島の首都ラロトンガで署名されたので通称「ラロトンガ条約」と呼ばれている。フォーラムメンバー国ではミクロネシア3国が米国との自由連合協定で、米国の軍事行動のアクセスを許可しているため署名できない。

 水着の「ビキニ」はこの核実験から名付けられた。オバマ大統領には広島、長崎だけでなく、ビキニ環礁始め、米国が燐鉱石を掘り尽くし核実験を行ってきた多くの太平洋の島々にも行ってほしい。

 ラロトンガ条約の背景には当時日本が放射性廃棄物を太平洋の海に投棄することを検討したこともある。