やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

森喜朗議員パラオ訪問

(2009年1月に書いた文章です)

  

森喜朗議員パラオ訪問

 

 1月15日、トリビオン・パラオ新大統領就任式典出席のため、森喜朗特派大使(元総理)がパラオを訪問。9月のミクロネシア連邦国訪問に続く太平洋島嶼国への出張だ。

 森議員は2000年の第2回島サミット(於宮崎)で共同議長を務め、2001年にはフィジーで開催された同サミットのフォローアップ会議に参加している。

 

 1980年に大平総理、大来外相がパプアニューギニアを訪問。1985年には中曽根総理、安倍外相がパプアニューギニア、フィジーを訪問している。これらの訪問はAPECの創設、そして日本初の対太平洋島嶼政策「倉成ドクトリン」へと続いた。その後現役総理、総理経験者の太平洋訪問は途絶えた。

 

 在太平洋島嶼国の日本大使館関係者は、太平洋に国会議員が来ない、とよくこぼしていた。「南の楽園」というイメージが強いこの地域への出張は国内で評価されないから、という理由だ。オバマ大統領でさえ、ハワイ訪問が選挙戦のマイナスイメージになるという。いずこも同じだ。

 

 昨年の森議員のミクロネシア連邦訪問は、9月1日の福田総理突然の辞任表明で揺れる政局の中、誰もがキャンセルするだろう、と予想していた。しかし、今回のパラオ訪問同様、かなり厳しいスケジュールで決行したのである。

 それも、森議員の個人的なミクロネシア連邦への思い、即ち父親が日本軍の守備隊長として終戦を迎えた地であることが背景にあるからだろうと、誰もが納得していた。

 なので今回のパラオ訪問は、意外だった。単なる個人的な思いだけではなく、森議員のミクロネシア地域重視の姿勢を確認することとなった。

 在ミクロネシア連邦の日本大使館開設に続き、パラオも大使館への格上げを検討する、という。

 

 大物政治家ともなれば、太平洋島嶼国への訪問が選挙に影響するということはほぼないであろう。現役総理、総理経験者の訪問は多額の援助に勝るとも劣らない。

 ところで、森議員に並んで、若しくはよりきめ細やかな配慮を太平洋島嶼国にしているのが天皇皇后両陛下だ。  (文責 早川 2009.1.28)

 

 

<参考>

外務省: 森喜朗特派大使のパラオ大統領就任式典出席(概要と評価)

外務省: 森喜朗特派大使のミクロネシア連邦訪問(概要)