2010年7月22-23日、フィジーのNatadolaにおいて”Engaging with the Pacific Leader meeting”が開催された。
出席者はパプア・ニューギニアのソマレ首相、ソロモン諸島のシクア首相、キリバスのトン大統領など太平洋島嶼10ケ国の首脳・閣僚。 元々、メラネシアの地域組織メラネシア・スピアヘッド・グループ(Melanesia Spearhead Group以下MSG)の会議が同日フィジーで開催される予定であったが、オーストラリアが圧力をかけ延期となった。
これを内政干渉とし、フィジー政府はオーストラリア大使を国外退去させた。
結局、会議はMSGプラス7の形で成功し、Natadolaコミュニケを採択。毎年開催されることも合意。なお、会議開催に当たってフィジー政府は豪、NZもオブザーバーとして招待していた。 同コミュニケは、フィジーを支持する、と言う内容一色かと思っていたが、地域の共通課題も取り上げバランスが取れている。要点は下記の通り。
さて、“Engage”という言葉でこれがラツ・クブアボラ外相のアイデアであるピンと来た。 昨年2009年5月、当時在京フィジー大使だったクブアボラ閣下に昼食を招かれた。”今フィジーに各国がEngageしなければさらに悪い方向に行く可能性がある。“と大使が主張していたのだ。 度重なるフィジーのクーデターがフィジー人とインド人の対立と言う単純な図式ではなく、西の酋長と東の酋長の対立、酋長と軍部との共謀と反逆等々、と言う複雑な状況であることを以前御報告した。 クブアボラ外相は初代大統領を叔父に持つ東の酋長の出身で、バイニマラマ軍司令官が解任したガラセ政権で閣僚に抜擢された方である。バイニマラマ軍事司令官の強っての希望で残った前政権の数少ない閣僚の一人。
その時の思いをお話いただいたが、要は一族郎党を裏切って、敵に寝返るという苦渋の選択しなければならなかった、ということである。家族が基本の島社会において「一族郎党」を裏切るという行為がどれほどの決意か、私も多少理解できるので、今回の会議の成功は個人的に大変嬉しかった。
Australia Strategic Policy Instituteのベルギン博士は明日8月3日からバヌアツで開催される第41回PIF年次総会は、総選挙を控えたギラード首相の外交交渉能力が問われる機会であり、豪が対フィジー、対太平洋島嶼国への態度を変えることが必用である、と説く。
他方、7月30-31日にはパラオで第10回ミクロネシア大統領サミットが開催され、ナウル、キリバスが初めて正式招待された。MSGが今回その動きを拡大したように、こちらの地域枠組みも拡大する気配だ。 元々、このミクロネシアの地域協力の動きはPIFが豪、NZ主導で、北太平洋の主要課題と一致しないことが背景の一つにあった。