♪変なおじさん、変なおじさん♪
娘がどこからか覚えてきた。志村けんのコントだ。
私が沖縄音楽に初めて出会ったのがこの「ハイサイおじさん」である。衝撃的だった。
娘にオリジナルを聴かせようとウェッブで探していたらこの曲の大変な背景を知ることになった。
「ハイサイおじさん」の曲に惹かれたのは、このおじさんが背負った“何か”があった。だがこんな過去があったとは。
娘にはまだこの曲を聴かせていない。
以下、共同通信社の編集委員室が作る企画ページ「アジアに広がる「花」の歌 ミュージシャン喜納昌吉(きな・しょうきち)」から引用。
女の子が毛布に包まれて横たわっていた。父親が『なぜこの子の足は冷たいの』と毛布を取ったら首が無い。父親は魂を落としたような顔で、しばらく言葉を失った。
母親が自分の娘をまな板に乗せて斧で首を切り落としたのである。さらに母親はその頭を釜で煮て、「自分の娘を食べて何が悪い!」と叫んだ。
「戦後、家を失ったり精神的におかしくなった女性がたくさんいた。事件の家の父親もそんな女性を家に連れ込むから夫婦げんかばかり」。
後、その母親は自殺、父親は酒に溺れてゆく。
「顔を出すと僕に向かって古い民謡を歌う。ハイサイ(こんにちは)と声を掛けて僕も酒をあげる。それを繰り返しているうちに歌を作ってあげようね、と急に思った。ダンダダンダダンとリズムが生まれてきて」。
不思議な感動だった。最初の作品「ハイサイおじさん」は、こうして生まれた。まだ高校生だった。