やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パラオの鯨 鯨のパラオ

パラオの鯨 鯨のパラオ

 長年捕鯨問題では日本支持を表明し、日本にとって頼もしい国パラオが、今年になって不支持に回る、と言い出し、大騒ぎになった。

 鯨だけではない、サメも保護、観光客からグリーンフィーなる環境税も取り立て、パラオは一躍環境保護の先頭に立ったかのようだった。

 今回のオーストラリア出張では海洋専門家ばかりにお会いしたので、立ち話で

パラオは鯨不支持に回りましたね。」と振ってみた。

「何言ってるんですか?IWC総会ではパラオは日本に投票しましたよ。」

「えええ!」

 まずはオーストラリアが反捕鯨のロビーイングに来たのだそうである。パラオ政府はしばらく態度を保留。指示しない、とコメントしたとたん日本の援助ミッションがやってきた。

 パラオは日本、オーストラリア両方から援助を勝ち得たのである。

ヤラレタ!

「途上国では当たり前の行動様式ですよ。」

そうだ島人の二枚舌、三枚舌は承知していたはずであった。

"ナイーブ"なのはこちらである。

(文責:早川理恵子)