2年半前、ミクロネシアの海上保安案件が開始した際、羽生会長がすぐ発想されたのがミクロネシア地域海上保安庁構想である。領海線が密接しているヨーロッパでは既にこの方法を取っているという。つまり隣国の海上警備隊が領海を超え活動できる制度だ。
6カ国+2NGOの支援体制をミクロネシア3国が合意し、米豪が賛同するまで10年はかかるであろうと、関係者、確か羽生会長も当初、言っていたように記憶する。結果、2年半でできた。
今回の会議ではミクロネシア地域海上保安庁構想までは協議していない。しかし船や通信機材の援助が最終目的ではないはずだ。
「これで終わりではないですよね。」会議前日に羽生会長に確認してみた。
「そう。」
よかった。
このミクロネシア地域海上保安庁構想―羽生構想をサポートすべくミクロネシアから既にコンセプトが出てきているのである。羽生会長には1年前に見せてある。
「どんどん進めて。」
そんなこと言った覚えはない、と言われないことを祈っている。
実はこのコンセプトに豪州政府も関心を示している。コーディネーション・センター設置とも関連してくるのだ。
ミクロネシア3国の主権と地域協力を促進しつつ、日米豪の支援を受けやすい形を目指した内容だ。
会議の成功が目標ではない。援助案件の実施が目標ではない。「ミクロネシア地域海上保安庁構想」、そして太平洋における日本の役割を明確にした「太平洋共同体」の設置がこの事業の最終目標である。
ビジョンを持って仕事をする。
それがさまざまなプロセス、即ち会議や援助案件を成功させる鍵だと考える。
(文責:早川理恵子)