やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

宝島 ー タックスへブン

「田中宇の国際ニュース解説」は時々無料のサイトを拝見していたが、この4月に出た「タックスへブンを使った世界支配とその終焉」というタイトルの記事が有料だったので思わず3,000円払ってしまった。

 このブログでも幾度か取り上げているが、「南の島の楽園」は犯罪や、タックへブン、マネロンなどの楽園でもある。

 しかし、これらの活動を政府(先進国、島嶼国含め)がバックアップしている場合もあり、ほとんど資料がない。調査をしているのはIMFとオーストラリアのグリフィス大学のフォッセン博士位。

 田中宇さんの記事には英国の王立国際問題研究所の研究員でジャーナリストでもあるニコラス・シャクソンがタックスへブンの実態を書いた論文や本を紹介している。

 太平洋島嶼国のタックスへブンシステムの背後に旧宗主国ががいる事は気付いていたし、聞かされてきた。が文章を探してもゼロに近い。

 それがシャクソンのペ-パーの発表や本の出版で世界に旋風を巻き起こしいるらしい。ウォーレン・バフェットさえ高額所得者はもっと税金を払え、と言いだした。

(【肥田美佐子のNYリポート】消えゆくアメリカンドリーム―加速する“超格差”の実態ウォール・ストリート・ジャーナル 8月19日(金))

 実はまだシャクソンの本も論文も読んでいない。田中さんのサマリーでわかった気がしているだけなのでブログに書くつもりはなかったが、日本語でウェッブサーフィンするとこの件についてほとんど議論されていないようなので、メモ的に書いておきたい。

 

 要点はタックスへブンはもともと英国の隠れた国策で、カリブや太平洋島嶼国の旧植民地を独立、もしくは政治的に自立させ、英国の責任逃れができるシステム。そしてタックスへブンに流れるお金は高額所得者や多国籍企業、金融機関の、本来所得・収益として税金がかけられるお金がほとんど。即ち中所得者ばかり税金を払い、国内の格差は増すばかり。ケイマン島などのタックスへブンに蓄積された金額は世界経済を動かす「金融兵器」になっているということだ。

 金融の話しは正直わからない。

 しかし今やっている海洋安全保障関連で越境犯罪が途上国の周辺海域で展開され、また便宜置籍船の問題もある。これらはタックスへブンの話しと無関係ではない。

日本でもっと議論される事を希望してこのメモを残したい。