やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

外交官Sとの会話

 6月のミクロネシア出張は1ヶ月家を留守にする必要があったので、どこかキャンセルできないか悩んだが、前半はどうしても会っておきたい米国沿岸警備隊のキャプテンがいた。彼のおかげで、水面下工作が可能となったのである。

 また後半はどうしてもお会いしたい某外交官がいた。この方と阿吽の呼吸で国難を救った、と私の勝手な想像かもしれないが、信じていて、電話やメールで話せなかった事をお話したかったからである。

 結局某外交官との面談は他の参加者もいたので、本音の話しはできなかったが第6感の部分ではピピピと話しができ、行ってよかったと思っている。

 その外交官からまた嬉しいコメントが聞けた。日本財団笹川平和財団が進めるミクロネシア海上保安事業は日本政府のある一部から「なぜ民間がやるのか」「よけいな事をして」と言ったコメントをよくいただいていた。これらへの回答は「日本政府がやらないから」であるが例え日本政府がやったとしても、こんなに柔軟に迅速に進められなかったはずだ。ミクロネシアの某国の大統領補佐官との会話では「日本政府が進めたらまずなぜミクロネシア3国なのか、という議論だけで1年はかかり、そのうち話しは消えてしまう。」と言われまさにその通りと思った。

 さて某外交のコメントとは「民間であろうと米国沿岸警備隊と仲良くしてくれている事はありがたい。なぜならばこの地域で日本人に大きな事故が会った時、真っ先に救助を頼れるのはグアムの沿岸警備隊だと予想しているからである。」

 組織の住み分けや権限を云々する前に日本国民の命を優先する。これぞ「外交官」と嬉しくなったし、やっぱりミクロネシア出張をしてよかったと思った。

 今、DHS内にあるUSCGとDoDの協力合意を読んでいるが、そこには縦割組織を越えた国民の安全保障をいかに迅速に対応するか、という精神が読み取れる。この合意は9.11という大惨事を経験した米国政府だからできたのかもしれない。