やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ダニエル・イノウエ議員の美しき誤解

ダニエル・イノウエ議員の美しき誤解

 いったい笹川会長のワシントンでのスピーチに米国はどのような反応を示したのであろうか? 偶然見つけた会議のビデオ。(45分あたりから)http://vimeo.com/29373249 ダニエル・イノウエ議員のスピーチを聞いた時は笹川会長のリマークスを聞いた時よりもビックリした。

 東北の震災に関連し、沿岸管理を含め、今この時期に日米が統合的海洋政策を協力して進める事は心より歓迎したい、という内容だ。海洋問題については過去に対立した事もあるが、それは国益を損ねることである。日米は海に歴史的にも文化的にも深く関わっているという共通性がある。さらにイノウエ議員は”その点において”(筆者の理解)、米国議会は日米関係が世界で一番重要なものであると考える、とまで述べている。

 軍事の「グ」の字も出て来ない。多分主催者がOcean Policy Research Foundationだったので誤解されたのではないか、と想像する。

 そうであれば、これは美しき誤解である。

 ハワイ選出のイノウエ議員はUnited States Senate Committee on Commerce, Science and Transportationの有力議員で、笹川太平洋島嶼基金が長年支援してきたPEACESAT事業の推進者でもある。

 冷戦終結後、太平洋諸島に対する米国の関心が一機に引く中で、イノウエ議員のイニシアチブで、冷戦のケネディ政権の落し子でもあるPEACESATは継続される事になった。太平洋の島じまへの理解と思いはオバマ大統領以上に強いであろう。

 上記委員会はNOAA, USCGも担当する。イノウエ議員が海洋問題に詳しいのは当然のことだ。

 スピーチ当日、37歳のお誕生日を向かえられたイノウエ議員は、二周り以上年下の女性と再婚されたばかり。これは誤解ではありません。