京都会館の改修工事で地元が揺れているのを知人の建築家ご夫妻から伺っていた。
テレビドラマ『拝啓、父上様』で有名になった大江戸神楽坂。ここも高層ビル建築に対する地元の反対運動が今でも展開されている。
経済開発と文化。センの議論と無関係ではない。
反対集会のようなものが先日開催されたので、見に行った。
オペラ上演をするために今の高さが2倍になるという。そうすると東山の景色が洛中から見えなくなる可能性もある。
新しい建物は運営費もかさみ、学生や庶民が利用しやすい今の使用料金も見直されるかもしれない。
何にも増して、京都会館はコルビュジェの弟子、前川国男氏が設計し、日本的でモダニズムで、戦後の復興の中で「民主主義」を現した建築だそうだ。弱い建築、沈黙する都市、がいいのだそうだ。
建築についてはド素人だが、なんだか老荘思想的な集会だった。
平安神宮、南禅寺、博物館、図書館が集る岡崎に「京都会館」がある事を知ったのは、映画『古都』(岩下志麻主演)を観た時からだ。それほど、京都会館はその存在自体が沈黙的である。主張しない存在感、とでもいうのであろうか。
改修の反対運動を主導する建築家達が前川氏のお弟子さんなので、反対運動にも限界があるとのこと。世界に誇る京都大学には勿論建築学科があるらしいが、いくら声をかけても沈黙を守っているらしい。