『評伝 笹川良一』伊藤隆著
『評伝 笹川良一』伊藤隆著
年末、『評伝 笹川良一』、『くじけてなるものか 笹川良一が現代に放つ警句80』を続けて読んだ。
「笹川」の看板を背負って仕事をするということは、「笹川良一」が何者であるのかある程度説明できないといけない。
20代の頃はよく泣いていた。記者、学者から「笹川は出て行け」と何度言われたか知れない。他方で批判する人に限って何もしていない事もだんだんわかって来た。
「笹川良一」が戦争中、国会議員をされていたことや自ら望んで巣鴨プリズンに入ったことはなんとなく知っていたが、詳しくは知らなかった。下記の三部作も読んで、詳細を知る事ができたのはよかった。しかし、手紙の内容は難しく、『評伝 笹川良一』に解説があるだろう、と期待していた。
読んだけれどやっぱり理解できない。理解できるような人物ではないと思った方がよいのかもしれない。
敗戦直後、戦犯者を救うために自ら手を挙げてプリズンに入るなんて誰も理解できないと思う。またプリズンから出て来た戦犯者やその家族を無言で支えて来たことも理解できないであろう。世の中は敗者や弱者に冷たい。
中でも敗戦時を重光葵といっしょにいた事が印象的だった。重光葵は笹川良一が尊敬する数少ない一人だった、とある。
それから重光の手記に
「ー 終戦の時に軍部を押さへる為に最後の伝家の宝刀が出されたのである。即ち新内閣の使命は終戦と云う難事を、直接天皇陛下の代理として立派にやる事にあるのである。ー」
とあった事が印象に残った。
敗戦直後の日本の様子を十分知らない。現在の歪んだ日米同盟、日本の安全保障体制を理解するには必要な部分だと思う。
続・巣鴨日記 (笹川良一と東京裁判)
「戦犯者」を救え―笹川良一と東京裁判〈2〉
容疑・逮捕・訊問―笹川良一と東京裁判〈3〉