やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

CSISの2つのレポート

Press Briefing—Report on U.S. Force Posture in Asia-Pacific from CSIS on Vimeo.  大学に所属しているいくつかの利点のひとつに、専門家の講演会に参加する機会がある事である。それと図書館へのアクセス。  

先日ニュージーランド訪問中の北京大学国際関係学院副院長、朱鋒教授(Professor Zhu Feng, Peking University)の講演会ー「米中の戦略的関係」に参加し、質問する機会があった。  勿論8月15日に発表された「アーミテージ・ナイ・レポート」について質問した。  

朱鋒教授の回答は  「CSISは2つ報告書を出してますよ。もう一つの方を読みなさい。アーミテージ・ナイはビッグネームですから無視できませんが、もう一つの報告書が重要です。米国内にpolarizationをさせようという勢力がある事は事実です。」  

朱鋒教授の講演は米中の経済的つながりを強調した内容であった。今米国に留学している中国の学生は300,000人。一人当たりの授業料は5万とか6万ドル。米国の大学は中国の留学生で成り立っている。こんな数字も改めて両国の関係を知る機会であった。  

さて、朱鋒教授が示したもうひとつの報告書は'U.S. Force Posture Strategy in the Asia Pacific Region: An Independent Assessment"という。国防省からの委託で作成され、7月末、パブリックに発表。共同編集者はDavid J. BerteauMichael J. Green。  報告書の最後にパネッタ国防長官のコメントも掲載されている。報告書に対して2つの点で異議があることを明確に述べている。一つは韓国への強化は必要ない、二つ目はグアムの強化はさらに必要である、という内容。この2点を抜かせば国防長官は、国防省はこの報告書の内容にほぼ同意、と理解してよいのだろう。    

この報告書が出た7月末、私はちょうどハワイにいた。皆が皆”ペイコム、ペイコム”と言っていた背景が全てわかったような気がして来た。ホノルルアドバタイザーの論説に確かにCSISの報告書が云々、と書いてあった事もこれか、とわかった。  

さあ、この事を親分にどう伝えようか、と悩んでいた。どうせ私が「太陽は東から昇ります」、と言ったって信用してくれない。ところが別件でお会いする機会があった。 「ペイコムが鍵だってねえ。」 「そ、そうです!(なんで知ってるの?)」キャンベル国務次官補筋から直接情報が入っていた。  

で、ペイコムが鍵なのである。そのペイコムのあるハワイが鍵なのだ。そしてハワイ出身で最長老議員、かつ予算委員長のダニエル・イノウエ議員も重要です。  太陽が東から昇る事実より、明確です。 本日開催された下記の講演も面白い。

キーティング元司令官も講演している。 Audio: U.S. Forward Presence in the Asia-Pacific Region Sep 24, 2012