やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

西太平洋における遠隔教育連盟設立支援

笹川太平洋島嶼基金はグアム大学に対して2001年から2005年、34,180,399円の助成金を拠出し、「西太平洋における遠隔教育連盟設立支援」を実施した。

助成期間中に「西太平洋遠隔教育連盟」は設立されたものの、その後の活動はそれほど活発ではなかった。

しかし、グアム大学は新たな学長ロバート・アンダーウッド博士(元下院議員でオバマ政権の連邦政府教育科学委員)を迎え、遠隔教育に関する新たな組織を設置。現在300コースの内150コースはオンラインになっている、という。

昨年12月でグアム出張で知る事ができた。

今回の出張はミクロネシア海上保安事業がメインだったが、この助成事業を立ち上げた事業担当者としては、こちらのニュースも大きな収穫であった。

<事業概要>

2005年度

8,302,350円

事業内容

1980~90年にミクロネシア3国(パラオ、マーシャル、ミクロネシア)が独立したあとも、西太平洋・ミクロネシア域内の協力関係は比較的希薄でしたが、近年、情報通信の発達により、同地域でも遠隔教育を通じた域内協力の可能性が高まりました。本事業は西太平洋島嶼地域に組織的な遠隔教育制度を整備することを目的として、2001年度から5年計画で行われました。

事業1年目には、通信技術インフラの未整備、人材不足などの現地の状況を把握し、現地ニーズを重視した計画書『Distance Education Initiative』が6つの地域・国ごとに作成されました。2年目は域内の教育、政治、通信、医療関係者が協議する機会を設け、「西太平洋遠隔教育連盟」の設立が合意されました。また、学校間の単位の交換制度、遠隔教育による単位取得システムの開発、コミュニティへの生涯教育プログラムの開発など、遠隔教育実施のための具体的な事業計画を協議し、会議の成果として「Micronesian Regional DE Plan」が策定されました。3年目は遠隔教育連盟の設立と具体的な事業計画案を策定しました。さらに、遠隔教育・遠隔医療関係者のキャパシティ・ビルディングと、衛星ネットワークの技術的選択に関する調査研究を実施しました。4年目には、離島を対象としたパイロット事業として、ヤップの14の離島に高周波無線通信システムを使った電子メールを導入し、遠隔教育・遠隔医療の環境を整えました。また、1、2年目に策定した計画に従い、6地域から提出された14件の申請から12件を選び、遠隔教育・遠隔医療の教材とマニュアル作成に着手し、さらに、次年度制作予定の、啓蒙を目的とした事業紹介ビデオの素材収集と編集を行いました。

最終年度には「西太平洋遠隔教育連盟」の定款を作成しました。現在「西太平洋遠隔教育連盟」にはミクロネシア短期大学、パラオ・コミュニティ短期大学、北マリアナ短期大学、グアム大学、グアム・コミュニティ短期大学、マーシャル諸島短期大学の6大学が加盟しており、遠隔教育を正式な単位取得コースとするなど、具体的に遠隔教育が始まっています。また、ポナペ州の4つの離島では、支援したテレセンターが機能し始めています。

なお、本事業の成果はウェブサイトやビデオ、国際会議での発表などを通して広く発信され、同じ環境にあるカリブ海などで応用事例として検討されています。

2004年度

5,324,500円

事業内容

西太平洋地域のミクロネシア諸国を中心とした島嶼国の地域協力の枠組みづくりと、遠隔教育・遠隔医療の質的向上を目的とした事業です。第1段階では、ニーズ調査と遠隔教育政策案策定、遠隔教育連盟の設立と具体的な事業計画案策定を、第2段階では、遠隔教育のための衛星ネットワークの調査とキャパシティ・ビルディングを行いました。

第3段階に入った本年度は、前年の調査結果を受けて、離島を対象としたパイロット事業として、ヤップの14の離島に高周波無線通信システムを使った電子メールを導入し、遠隔教育・遠隔医療の環境を整えました。

そして、第1段階に策定した計画に従い、6地域から提出された14件の申請から12件を選び、遠隔教育・遠隔医療の教材とマニュアル作成に着手しました。また、2004年8月16~18日に、グアム大学で遠隔教育に関するワークショップを開催しました。さらに、次年度制作予定の、啓蒙を目的とした事業紹介ビデオの素材収集と編集を行いました。

2003年度

7,995,049円

事業内容

本事業は、西太平洋島嶼国地域に組織的な遠隔教育制度を整備すべく、2001年度から開始されました。事業は、5年の間に3段階に分けて実施されます。ニーズ調査や具体的な事業計画案策定という第1段階を経て、第2段階に入った本年度は、遠隔教育・遠隔医療関係者のキャパシティ・ビルディングと、衛星ネットワークの技術的選択に関する調査研究を行いました。

キャパシティ・ビルディングでは、チュック、ポナペ、コスラエ、マジュロパラオでワークショップを開催し、遠隔教育・医療に関する教材開発、通信技術の基礎、遠隔地施設補修に関する講習を行いました。衛星ネットワークの技術的選択肢の調査研究には、衛星・通信事業者と太平洋島嶼国の遠隔教育・医療関係者約100人が参加しました。また、ハワイとパラオで行われたワークショップでの協議、ミクロネシア連邦のウォレアイという離島での試験実験を経て、「ミクロネシア地域衛星ネットワークシナリオ」という提言を作成しました。

2002年度

6,319,000円

事業内容

地域協力の枠組みがなかった西太平洋島嶼国には、単発的な遠隔教育の試みはあっても、組織的な遠隔教育の制度はありませんでした。そこで、2000年度に実施した「西太平洋地域における遠隔教育の基盤整備」事業において、域内の関係者を集めた政策会議が開催され、西太平洋遠隔教育連盟の設立が提案・合意されました。

本事業では、前年度に西太平洋地域における遠隔教育のニーズ調査を行い、遠隔教育政策案を策定しました。本年度は、遠隔教育連盟の設立と具体的な事業計画案策定に向けて、ミクロネシア地域の教育・医療・通信関係者総計60人を招へいし、グアム大学において会議を開催しました。会議では、各学校間の単位の交換制度、遠隔教育による単位取得システムの開発、コミュニティへの生涯教育プログラムの開発など、遠隔教育実施のための具体的な事業計画を協議しました。

会議の成果として、「Micronesian Regional DE Plan(ミクロネシア地域遠隔教育計画)」が策定されました。

2001年度

6,239,500円

事業内容

地域協力の枠組みがなかった西太平洋島嶼国には、単発的な遠隔教育の試みはあっても、組織的な遠隔教育の制度はありませんでした。そこで、昨年度実施した「西太平洋地域における遠隔教育の基盤整備」事業において、域内の関係者を集めた政策会議が開催され、西太平洋遠隔教育連盟の設立が提案・合意されました。

本事業は、西太平洋地域の遠隔教育に関するニーズと問題点を確認するとともに、西太平洋遠隔教育連盟の設立に向け関係者との調整を行うものです。本年度は、ミクロネシア地域の遠隔教育および電気通信の現状の評価のために、教育専門家が中心となって調査を行いました。また、パラオ、ヤップ、チュック、ポナペ、コスラエ、マジュロの6地域・国でワークショップを開催し、遠隔教育・遠隔医療にかかわる政策担当者、政治家、援助関係者、法律家、ビジネス関係者など、総計1 4 0人の参加を得ました。そして、現地ニーズを重視した遠隔教育、医療教育のネットワークの計画書『Distance Education Initiative』が6つの地域・国ごとに作成されました。