年末のグアム、パラオ出張中一大ニュースが飛び込んで来た。
「決まりました」琉球大学の知り合いの先生からのメールだった。
何が決まったのか? 琉球大学の第16代学長に大城肇先生が選ばれたのだ。
大城肇先生はこのブログにも時々登場いただいており、笹川太平洋島嶼国基金とも関係が深い。
当方も公私共々お世話になっており、今回のニュースは喜び以上にずっしりと重い「責任」のようなモノを勝手に感じている。
沖縄と太平洋島嶼国。
以前まとめた記憶があるが再度書いておく。
笹川太平洋島嶼国基金は日本と太平洋島嶼国の交流協力をうたってはいるものの、日本の大都市との交流協力は規模や価値観の違いから困難があった。
例えば島嶼国からの留学生。東京の通学電車をみただけでノイローゼになってしまう。
島嶼国からのメディア招聘。4、5人で経営する島の新聞社と日本大手新聞社の規模は話にならない。
そこで始めたのが沖縄、奄美諸島との交流である。1994年頃の話だ。
2000年、その3年前に開始した「太平洋島サミット」の仕切り直しで故小渕首相が笹川陽平会長に相談されたそうである。「沖縄でやろうと思うがどうか?」
笹川会長は当時笹川太平洋島嶼国基金運営委員長。基金が沖縄との交流に力を入れて来た事を勿論ご存知で、小渕首相の案を大きく後押しする事になった。
そしてこの2000年の島サミットで琉球大学のアジア太平洋島嶼研究センターが設置されたのである。しかし、立ち上げを支援した肝心の日本政府はその後何もして来なかった。
その頃、笹川太平洋島嶼国基金は渡辺昭夫教授を運営委員長に迎え、民間団体ながらも同センターの支援、即ち琉球大学と太平洋島嶼国との交流を支援、協力してきたのである。そのセンター長が大城肇先生だったこともあり、もう10年以上のおつきあいである。
沖縄と言えば「島」「海」。
しかし沖縄の人でこの2つのキーワードに関心がある人は多くはない。
沖縄は差別されている、と聞くしそう思う事もあるが、沖縄の中での差別はもっと鮮明だ。
沖縄本島は宮古、八重山諸島を無視し、差別する。八重山諸島内では石垣島が近隣諸島を無視し差別する。そんな構造が見えて来る。
大城肇先生はこの島の差別構造の末端ともいえる「鳩間島」(2010年の人口は42人)出身である。しかも文系の島嶼経済がご専攻。
「島」の問題を、冷酷な国際政治、国内政治、そして世界経済から身をもって見て来た方ではないだろうか?
ちっぽけな島がグローバルなハイポリティックスに大きな影響を与えうる事もご存知のはずだ。
与那国の田里さんが関連の記事を書いていらしたので下記にリンクさせていただきます。
「大城肇さんが琉球大学学長に!おめでとう!!!」