パラオの海洋安全保障に関する動向から目が離せません。
年明けに返り咲いたレメンゲサウ政権。全EEZを商業漁業禁止地区に制定する計画を早速発表し、さらに大統領令で海洋保護区研究委員会を設置。6ヶ月後には具体的方策を出すよう指示を出した。
そして今月になって海洋ほ乳類保護区を有言実行にするための法案が提出され、議会を通過とのニュースが。
レメンゲサウ政権の海洋管理、その勢いは留まるところを見せない。ミクロネシアチャレンジやミクロネシアのサブリジョナル協力体制も、元々レメンゲサウ政権下で開始されたので、当たり前といえば当たり前ではあるが、それでもすごい。
この「海洋ほ乳類保護区」はトリビオン前大統領が2010年名古屋で開催されたCOP10のオーシャン・デーで発表した構想。
「パラオ大統領全EEZを海洋哺乳類サンクチュアリーに http://blog.canpan.info/yashinomi/archive/190
シャークサンクチュアリ同様、構想だけで、その後某かの具体的方策が取られたとは聞いていなかったし、逆に「有言不実行」との批判の声は聞こえていた。
Marine Mammal Sanctuary Act はジュゴンを始め、全ての海洋ほ乳類の捕獲、加工、輸出の行為を禁止。
犯罪行為に対しては6ヶ月から10年の収監、1,000ドルから25,000ドルの罰金のどちらか、もしくは両方が科せられる。
海洋ほ乳類の捕獲は科学と教育目的に限り、Minister of Natural Resources, Environment and Tourismの許可を必要とする。
大ざっぱにまとめるとこういった内容。
海洋保護区制定には監視活動の強化だけでなく、法執行の整備も重要である。そしてパラオ国民、住民、観光客等々への教育もその一つだ。
今回のパラオの海洋保護に関する法案は他の太平洋諸島の参考になることを願っている。
太平洋だけでなく世界の海洋保護区、IUUに積極的姿勢を示している米国の環境NGO、PEW財団の動きを次回はご報告したい。
<参考ニュース>
Marine Mammal Sanctuary Act Proposed In Palau
House delegates introduce protection for all marine mammals
Island Times: www.islandtimes.us
http://pidp.eastwestcenter.org/pireport/2013/June/06-28-15.htm