山形浩生さんの密かなファンである。
内緒だけれど(この方敵が多そうなので)山形浩生さんなしでは経済の話に入れなかった、と思う。感謝。
さて、海洋安全保障のお仕事をする上で、「海賊」というのは一つのキーワードのようだ。
前のブログに国家の略奪行為の正当化が語られている。
太平洋の漁業資源を巡る争いも誰が略奪者か、という点をパラオのレメンゲサウ大統領はじめ、島嶼国政府はしっかり認識しているのである。
『海賊の経済学―見えざるフックの秘密 』は小さい頃から海賊ファンの著者が経済学の視点から書いた本。
私的(民間?)略奪行為であろう「海賊」は意外と商船よりも民主的で、経済的合理性があった、という内容の本。(と理解しています。)
海賊の船長は民主的方法で選ばれ、少しでもミスを犯したらすぐクビになる。
他方、商船の船長はパワハラ、セクハラ当たり前。お給料の差も海賊の船長に比べベラボーに大きい。
海賊の方が商船より平等主義だった、のだそうだ。
しかも意外にも海賊は平和愛好者。
ジョニーデップの海賊映画でも見られるように、「海賊」と聞けば縮み上がる恐ろしいイメージがある。これは、「海賊」と出会ったら、観たら、抵抗しないでさっさと退散せよ、即ち武力行使を避けた、平和指向のイメージ作戦なんだそうです。
身近の話では、IUU 違法操業取り締まりをやっているが、違法操業の起源、原因を対処しないと、いつまでもいたちごっこのような気がする。
筆者が限りなく愛する「海賊」も、できればしない方がいいだろうし、いない方がいい「社会悪」ではないだろうか。まあ、正当性、正統性の中から悪が生まれてくるんだろうけど。