やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

トニーとシンゾー 新たな日豪関係に向けて その2

<渡辺昭夫先生と福嶋輝彦教授>

オーストラリアのアボット首相来日は、日豪の防衛安全保障協力に大きな一歩を踏み出す事となった。日本で本件を一番感慨深く観察しているのは渡辺昭夫先生と福嶋輝彦教授ではないか。 日豪安全保障問題と言えば渡辺昭夫東京大学名誉教授と福嶋輝彦防衛大学教授である。 このブログのおかげでこの大家お二人と色々情報・意見交換をさせていただいている。 日豪防衛協力ー2007年、安倍首相とハワード首相との間で署名されてから、話ばかりで一向に進まない、というのがキャンベラで聞いてきた事である。 日豪防衛協力は100年前の第一次世界大戦の歴史があるが、第二次世界大戦以降は経済関係が中心であった。しかし、この広い太平洋、豪州一人では守りきれるものではない(100年前の教訓が活かされていない)。

意外にも日豪安全保障協力を実際に始めたのは日本財団・笹川平和財団のミクロネシア海上保安事業であったのではないか。事業開始当初のキャンベラのRepurcussionは今思うと当然だったのかも。

 

<海上自衛隊アルバニー船団記念式典へ>

日豪防衛協力が進まなかった理由。相互の外務省は推進する努力をしてきたが国防省と防衛省間の不信にある、と聞いてきた。 防衛省が抱く不信はなんとなくわかる。豪州海軍、弱いだけではない。セクシュアルスキャンダラス、いや性犯罪の巣窟。オーストラリア人自身が嘆き、同胞の軍隊の女性が被害者となっている。当方もセクハラはなかったが汚いやり方で事業の足を引っ張られる経験をした。 オランダ病は国の防衛力まで衰退させる。資源がない日本が強くなるのがよくわかる。 太平洋の広大な海は豪州だけのものではないし、こんな海軍に任せておくべきではない。 豪州への潜水艦支援はいいが動かす人がい足りないはずだ。 さて、今回の日豪首脳会談で当方が注目したのは、下記の海上自衛隊のアルバニー船団記念式典への参加だ。

13. アボット首相は,第一次世界大戦中、豪州・NZ 軍(ANZAC 軍)を輸送する最初の船団が日本海軍巡洋戦艦「伊吹」による護衛の下、アルバニー港を出航して100周年であることを記念する、2014年後半に実施予定の「アルバニー船団記念式典」への海上自衛隊艦艇派遣に係る日本の意欲を歓迎した。

日豪首脳会談に関する共同プレス発表(4月7日) http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000034802.pdf

2014年はANZAC100周年記念として2018年まで様々な行事か予定されている。同時に日豪海軍協力100周年記念である事は、今年2月に当方がキャンベラに出張した際、豪州国防省以外は知らなかった。知っていた国防省は不都合な史実である如く前向きには語らなかった。それが日豪首脳会談に出て来たのである。 首脳会談にも貢献する笹川平和財団の出張です。

 

<ビショプ外相の広島訪問>

トップに掲載したのは在日豪州ミラー大使のツイートにあったビショップ外相の写真。 アボット首相と入れ替わりに日本を訪れていた。第8回NPDI外相会合への出席のためである。 第一次世界大戦でANZACをドイツから守ったのは日本である。 第二次世界大戦でANZACを日本から守ったのは米国である。 そして日本は原子力爆弾を落とされた。 今その日本に、広島にANZACが頭を垂れ祈り、軍縮・不拡散と防衛安保協力を進めようとしている。 ビショップ外相が女性であるということも象徴的な意味として重要であろう。

 

<女性が活躍する海上自衛隊>

日本の海上自衛隊のウェッブがすごく進化しているような気がする。 写真やビデオで女性の活躍も伝えている。 当方の母校、国立音楽大学出身者も活躍すると聞いている防衛省の音楽隊。オリコンチャート独走、メディアも注目する歌姫までいるという。 海上自衛隊が参加を検討しているアルバニー船団記念式典には是非女性隊員の参加と音楽が準備される事を期待したい。 音楽も美貌も、潜水艦に勝る武器なのだ。

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海上自衛隊の歌姫、三宅由佳莉さん

この海上自衛隊カレーもすごい。入れない食材はないのでは? http://www.mod.go.jp/msdf/formal/jmc/recipe.html