やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

デカプリオ、今度は気候変動の使者に。安倍総理1万4千人の人材育成発表(国連気候変動サミット)

昨日23日、国連気候変動サミットが開催された。 数ヶ月前、米国の海洋会議で「イルカやサメがかわいそう」と訴えたあのデカプリオが、今度は国連の「気候変動メッセンジャー」に任命された。 気候変動。キリバスのトン大統領が、マーシャル諸島のデブルーム外相がいくら叫んでも、CO2を二番目に多く排出している(一番は中国)肝心の米国は貸す耳を持たない。 デカプリオの配置は米国を自ら禁める、という視点からグッドアイデアかもしれない。
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世界のCO2排出国、外務省ウェッブより
演説はこちら。国連気候サミット 安倍総理スピーチ(プレナリー・セッション) 他方、安倍総理は何を述べたか? 向こう3年で1万4千人の気候変動に関わる人材育成を、主に太平洋、カリブ海島嶼国を対象に行う、と発表したのである。 1万4千人? 太平洋島嶼国が14カ国、CARICOMが15カ国。単純に割ると、1年一カ国から160人。カリブ海は知らないが、太平洋島嶼国にそんなに人がいないのではないだろうか?と要らぬ心配をしてみたくなる。 しかし、これら島嶼国の方達に日本の沿岸地域、島嶼地域にきていただき、日本の歴史と伝統に沿った沿岸管理をしているところを観ていただく絶好の機会でもある。「地方創成」にも役立つ。どうでしょうか?この案。 ところで日本の南洋統治がなぜ、西洋のそれと違ったのか?それは新渡戸稲造矢内原忠雄アダム・スミスの植民地論を継承していたからです。倫理学者であったスミスは、先住民や移民者への搾取を反対しています。主権国家となった島嶼国に、教育の機会を提供する。これは今も昔も変わらない、日本の、スミスの哲学に共通する事なのです。 「植民」と聞くと過去4−500年の虐殺と略奪による西洋人のそれと想像してしまいがちですが、人類の歴史は植民の歴史でもあり、それをスミスや矢内原は近代経済に合わせて論じています。音大生も読んでいる『国富論』。