やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

違法操業取締の実態

昨日書いた、パラオでのベトナム漁船の逮捕。

違法フィリピン漁船もそうだが、当然ながら登録していない。

入漁料なんか払っていない。

しかも、パラオベトナム、フィリピンの大使館はない。

そうすると、パラオ政府がこれらの漁師の宿、食事、着替え、健康管理、帰国の算段等々負担しなければならなくなる。

実は以前よりこのような違法操業はあったが、逮捕しても勾留する場所も人手もお金もない、という現実が島嶼国にはある。

よって、逮捕しない、という選択肢が出て来る。

では逮捕して罰金をたくさん取れる漁船はというと、真面目に登録した漁船である。

しかもお金のある先進国の漁船。即ち日本の漁船である。

最近の例では、資源枯渇とはほとんど関係のないような、例えば混交物の記載漏れなどで、数千万から億単位の罰金を課された日本の漁船があると聞く。

この水産会社は地元の経済が潤うように、本来なら必要のない現地での水揚げ作業場、営業ルートを支援してきたらしい。現地の雇用促進や現地経済に落ちるお金は島嶼国にとっては大きな額である。

しかし、厳しい取締と多額の罰金は同社の支援意思を削いでしまったようだ。

違法操業、そしてその取締。国際問題でもあり、その様相は複雑でケースごとに精査していく必要がありそうだ。