いよいよ目の前に迫ってきた日本海洋政策学会第7回年次大会。
「議論が雑で、視点が定まっていない」
というアドバイスをいただいているのでトンガの海洋安全保障の件は触れないかもしれないが、2つのペーパーを読んだのでメモしておきたい。
一つは、立命館大学の佐藤洋一郎教授の下記の論文。
佐藤教授には、私が企画した海洋安全保障研究会の委員になっていただき、トンガに出張していただいた。このペーパーはその成果である。
"Protecting Tonga's maritime security"
New Zealand International Review
Volume 37 Issue 5 (Sep/Oct 2012) 17-21
Sato, Yoichiro
佐藤教授は2014年に下記のペーパーも発表されている。
これはまだ読んでいない。
Tonga's risky seabed mining ventures
New Zealand International Review
39(2), March/April 2014, 19-20.
もう一つ読んだのは下記のトンガ軍のCaptain Sione Fifitaが書いた提言を含むペーパー。
Enhancing Tonga’s Maritime Security
MARCH 2015
https://defence.gov.au/ADC/Publications/documents/IndoPac/2015/Fifita_mar15.pdf
佐藤教授のペーパーは関係者はみんな知っているトンガの(太平洋島嶼国の)海洋管理能力のリミットが書いてある。即ち;
船はあっても燃料がない、
人材が限られている、
港湾管理はあってなきがごとし。。 etc..
しかしこうやってパブリックに書かれる事は少ないのではないか。
なぜか?
トンガのCaptain Sione Fifitaは、佐藤教授のペーパーを引用して始めて自国の海洋管理能力の限界を明言できるのである。自ら自分たちの能力の限界は明言できないのではないのであろうか?
トンガの海洋管理能力を支援しその内容を把握しているハズの豪州も、自分たちの責任範囲なのではっきり、公には書けないのではないか?
その意味で、関係者は知っている内容だが、佐藤教授のペーパーは重要だ。これを出すきっかけとなった海洋安全保障研究会は私が提案した会である。
Captain Sione Fifitaのペーパーだが、このようなトンガの海洋安全保障の限界を認めた上で、トンガの海洋関係機関の協力体制を提案している。これは豪州が実施している(しようとしている?)whole government Approachである。(Bateman 教授は hole government approachと言っていた!)
Captain Sione Fifitaのペーパーでより興味深かったのが、トンガはナント1887年にその領海を宣言していた事である。そして、Search and Rescueに関してはニュージーランドがトンガ、サモア、クック諸島、南極を含む広大な海域を担当している事である。
現在ミクロネシアの海難救助は、日本にある米軍がら捜索の船や飛行機が派遣されるのである。
日本政府が、自衛隊がミクロネシア諸国と海難救助協定を締結する可能性もあるのではないか?