『日本人として知っておきたい皇室のこと』
『日本人として知っておきたい皇室のこと』
PHP研究所 中西輝政+日本会議 編著、2008年
戦後の天皇制に関する講演会を聞く機会があり、その予習として『日本人として知っておきたい皇室のこと』を手に取った。編集者の中西輝政教授が書かれていることは簡潔で、始めて知ることばかりであった。
例えば「国体」「やまとごころ」のことである。
日本古来の考え方で言えば、「国」と「心」は一つで、「国体」とは「日本的な心のあり方」を指す。それをひらがなで「やまとごころ」と書く学者もいた。(同書32頁)
そして、皇室が和歌を大事にする意味も同書で始めて知った。帝王学につながっているとは。。
このような「心のあり方」を学ぶのが歴代天皇の帝王学であり、皇族として生まれた方々、皇族に嫁がれた方々の修養の道である。そのためのもっとも重用な道が、和歌をおつくりになられることであった。(同書34−35)
1908年、日露戦争に勝った日本が慢心する、精神のバブルが始まろうとしていた頃の明治天皇からのメッセージであった。この詔書のことも始めて知った。
この関連で忘れてはならないのが「戊辰詔書」である。戊辰の年である明治41(1908)年に発布されたもので、日本人に勤勉や節約、信義を重んじることの大切さを説かれた。今日の日本では忘れられているが、天皇と日本人の道徳の関係を考えるときは、おそらく「教育勅語」以上に重要な詔書である。(同書55)
同書には13名の執筆者が夫々の視点で、皇室の意義、課題等々を語っている。
天皇、皇室の存在というのは日本を語る際重要な点だと考えている。特に太平洋島嶼国と皇室の関係は意外と深く、皇室の事を説明する必要を感じる場面が時々ある野で、引き続き学んで行きたい。