やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

大英帝国の憂鬱

今回の英国滞在は、考古学者の愚夫のおかげで、オランダ、英国の歴史学者、考古学者等々と話をする機会を得た。

オランダの学者さんに

「オランダと日本は400年の歴史があるんですよね。」

と振ったら、シーボルトの話になって、急に顔色が変わり、

「もしかしてシーボルト、日本で評判悪くない?」

と聞かれた。

シーボルト、えっと誰だっけ?

私「いえいえ、悪い噂なんかありませんよ。日本で有名です。」

と、ここで思い出した。現地妻がいて、確か娘は日本で最初の女医。

「彼の娘は日本で最初の女医だったはずです。」

オランダの学者さんの懸念は、シーボルトが日本女性を不幸にしたと日本で思われているのではないか、という事だったようだ。

これをきっかけに話題は一気にリンネと日本の皇室の話に展開した。

<参考 天皇陛下のご講演>

リンネ誕生300年記念行事での基調講演

http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/koen/koen-h19e-linne.html

世界を植民した、英国の、そして欧州の血塗られた歴史は、現在の歴史学者や考古学者を憂鬱にさせているだようだ。

例えば、大英帝国博物館に代表される、世界の国宝級の遺産の数々。

博物館の「倫理」、というテーマでやり玉に上げられる事しばしば。

ギリシャ政府から返却を求められ、裁判にも。

オックスフォード大学では、アフリカの植民地を進めたセシルローズの像を撤去する動きが激しくなり、同時にアフリカ人の教員枠や学生枠の拡大が進んでいるそうだ。

"Rhodes Must Fall campaign marches through Oxford: 'Standing here in the rain... we have thick skins'"

By Harry Wallop, in Oxford 09 Mar 2016

http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/12189390/Rhodes-Must-Fall-campaign-marches-through-Oxford.html