やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

太平洋島嶼国の法律オンラインデータベース存続の危機!

悲しいニュースなのだが、嬉しい。

Pacific corruption-fighters worried as online database faces uncertain future

ABC News 26 May 2016

http://www.abc.net.au/news/2016-05-25/pacific-corruption-fighters-worried-as-online/7445926

太平洋島嶼国の法律オンラインデータベースPacLIIというのがある。

Pacific Islands Legal Information Institute

http://www.paclii.org/

 

南太平洋大学の法学部があるバヌアツキャンパスにその本部があるのだが、これを支援してきたオーストラリア政府の支援が今年で切れる、というニュースだ。

法の支配、法による秩序は、法のデータベースがしっかりしていないと不可能である。

なぜ嬉しいのか?

このPacLIIを立ち上げたのは、私の判断だった。

PacLIIは、USPの法学部オンラインコースの基本的な教材として作られました。

当時オーストラリア政府は何億円もかけて、法律データベースを作成し、CD一枚を数万円で販売。

誰も買いませんでした!それにデータは常に更新される必要があります。

 

島嶼国基金の助成は 2001-2003, と 2006-2008,計6年で26,385,192円。

 

助成が終了した後、事業が自立するのが望ましいですが、島嶼国の場合経済的規模から助成の継続は必要なケースが多い。よって豪州政府が2009年から十年近く支援を継続した事はこの事業の必要性と意義を証明する事で素直に嬉しく思います。まして、助成が切れるという事が一大ニュースとなって議論されているのは、この事業を選び支援してきた担当者冥利に尽きるのです。