やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

シャングリラダイアログ- 英仏の南沙諸島へのコミットメント!(追記あり)

今回のシャングリアダイアログ。地球の裏側の、嘗てはアジア太平洋に広大な植民地を保有していた英仏の国防大臣のスピーチが興味深かった。

両者とも南沙諸島の中国の進出を懸念。同じ点を強調している。

我々はアジアにいる!アジアの安全保障は我々の問題でもある!と。

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仏 All this is reasons why France is intending to remain firmly committed to fostering security for the Asia-Pacific area. Your security interests are also ours. (追記:すみません、これ2013年のスピーチでした!Jean-Yves Le Drian国防大臣4年連続で参加しているようです。)

 

英 Coupled with our regionally aligned brigades, our defence garrison in Brunei, our message is simple. We’re here to stay. We’re ready to help.

 

フランス国防相はEU外相に「海軍艦艇を派遣しよう」と呼びかけてもいる。

「海軍艦艇を派遣しよう」中国に対抗、フランス国防相がEU各国へ呼びかけへ

2016.6.5

http://www.sankei.com/world/news/160605/wor1606050016-n1.html

 

このブログの読者はご存知ですが、フランスはインド洋、太平洋の領土があるのです。

そして世界第二位のEEZの85%がこの領土で形成されている。

南沙諸島の問題はまさに仏領の隣の問題だ。地球の裏側ではないのだ。

インド洋、太平洋にはそれぞれ、百万、五十万人のフランス国民もいる。

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そして嘗て地球の陸地面積25%を保有していた大英帝国。現在もブルネイに英軍が駐屯している。

「英国との防衛取極に基づき駐留している英国グルカ兵(現役約1,050人,退役約2,000人。王宮等主要な建物を警備。)が担っている。」(外務省ウェッブより)

1971年に締結されたイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア間の五ヵ国防衛取極め(the Five Power Defence Arrangements)の事もスピーチで述べているように、女王様のネットワークは軍事で発揮されている。豪州NZの軍隊のトップはエリザベス女王である。

帝国主義の再来か?とも見えるが、中国の横暴な振る舞いを目の前にして、誰もそんな事を言い出さない。帝国主義のあるべき姿が今検証されようとしている。

 

フランス防衛大臣のスピーチはこちら(追記:2013年のでした。今年のは映像しか見つかりません。2013年時点でしっかりchina seasへの懸念も述べている。)

Advancing Defence Cooperation In The Asia-Pacific: Jean-Yves Le Drian

https://www.iiss.org/en/events/shangri%20la%20dialogue/archive/shangri-la-dialogue-2013-c890/fifth-plenary-session-a1d0/le-drian-cf2f

 

English - Shangri-la Dialogue 4th Plenary Session

2016年のフランス国防相のスピーチは5:40辺りから。

https://www.youtube.com/watch?v=g4XHIi3ogds

 

イギリス防衛大臣のスピーチはこちら

Defence Secretary speaks at Shangri-La Dialogue

https://www.gov.uk/government/news/defence-secretary-speaks-at-shangri-la-dialogue