やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パラオメディア協会の動き

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今年3月に私が長らく支援をしてきた(約15年間で100名以上の太平洋島嶼国のメディアを招聘)PINA - Pacific Islands News Association の年次総会がパラオで開催された。

その際、パラオで始めてパラオメディア協会 Palau Media Councll が設立されたのである。

こういう組織は立ち上がった時の「熱」が一気に冷めて尻窄みするケースが多いが、先日定期会合の報告がFBに上がっていた。

メインのテーマは今年の大統領選と報道についてである。

同協会は政府に認可された法的組織として下記のメンバーを選出している。

 

Chairman, Moses Uludong, Tia Belau

Vice Chairman Salvador Tellames of Palau Wave Radio

Treasurer Olkeriil Kazuo, Oceania Television Network

Secretary, Leilani Reklai of Island Times

 

<民主主義の精神的インフラとしてのメディア>

健全なメディアの存在、というのが、特に小島嶼国では重要な役割を持つ事を、当方はメディア交流事業の中で学んだ。

小さな島社会は構成員がみんな知り合いで、親戚で、友人なので、反対の立場をなかなか表明できない。これは八重山諸島でも同じだ。反対・賛成が明確になると、島が割れ、離婚というケースもあるそうだ。

社会構成員が全員は親戚・知人だと、汚職や犯罪ももみ消しにされるケースが多い。

ここに公器としてのメディアが必要となってくる。

よってメディア会社は火を付けられたり、命を狙われたり、国から追い出されたり、解雇されたり、と命がけなのである。(本当にあった話です)

ハードインフラ同様、外部からの支援がバランスを取るために必要なのだ。

 

<幻に終わったミクロネシアメディア協会>

太平洋島嶼国でメディアが全く発達していないのが、米国の裏庭であるミクロネシア諸国である。

これは赤道以南の豪NZの裏庭である太平洋島嶼国、特にPINAが長年懸念してきた事でもあり当方は同様な印象を持った。

そこで、2000年代初頭からミクロネシアのジャーナリズムの強化を目指し、ミクロネシアメディア協会設立をしかけた。これはニュースにもなった。

 

Micronesian media association formed

27 September 2007

http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/172921/micronesian-media-association-formed

 

Micronesian Journalists Create Association After Meeting for Two Days in Saipan

http://www.grady.uga.edu/coxcenter/activities/Act_2007_to_2008/Act0708_2.php

 

この事業が潰れた理由はここでは書かない。

 

<パラオメディア協会に支援すべし>

メディアが島嶼国にとっても重要であるばかりか、日本にとっても重要なのである。信頼とは、相手が信用するほどの知識、経験が当方にあるという事である。

海洋問題というのはまさに大海のごとく、深く、広い。その上、常に変化する。ちっとやそっとでは理解できない。

理解できないと、このブログで散々注意勧告しているPEWのような環境プロパガンダ組織に赤子の首を捻るがごとく、やられてしまう。

PEWだったらまだいい。中国が既に、豪州を含め島嶼国のメディアを抑えているのだ。