やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

八重山諸島への自衛隊配置

今年春から秋にかけ、パラオの大統領選を追いながら八重山諸島の自衛隊配備についてもパラオと同じ位、自分の中で気になり追っていた。

 

私は90年代半ばから「島と島を結ぶ」「島で島を語る」というコンセプトで奄美大島をきっかけに先島での事業を展開してきた。

てっきりこの事業を潰した仇と思っていた日本財団の鳥井参与から「あれはいい事業だった。」と言われて今年、個人的に八重山諸島を訪ねた。

「島のことは島人に聞け」これが私の哲学である。

 

偶然にも、石垣滞在中に北朝鮮のミサイルが発射された。

八重山毎日新聞の比嘉記者が記事を書いているので紹介したい。比嘉記者は私が企画運営したジャーナリスト交流事業に参加いただいた事もあり良く存じ上げている。

 

2016年12月10日 不連続線

 人工衛星と称する北朝鮮のミサイル発射に備え、PAC3という地対空誘導弾が石垣島に配備されたときのこと。登校する息子にいつも通り「車に気をつけてよ」と言って送り出した▼「ミサイルに気をつけてよ」とは言わなかった。当然だろう。現実問題としてどちらが危険か。交通事故に遭う確率のほうがはるかに高い。交通事故は日常の脅威である▼車やバイクを運転していると、ヒヤッとさせられることがある。優先道路と勘違いして停止せずに交差点に進入してきたり、停止しても交差点ぎりぎりだったり、交差点での左右確認を左から行ったり、などなど▼一時停止しない車両に、歩道の子どもたちや自転車にぶつからないか、と心配になる。安全確認を左から行うドライバーに、こちらに気づいているのかと不安になる。車は左側通行なので、道路を渡ろうとするとき、右から来る車のほうが自分に近い。だから確認は右が先▼今月4日夜、西表上原の県道で交通事故死とみられるイリオモテヤマネコの幼獣がみつかった。ことしに入って7件目。過去最悪。推定生息数100頭というから、このままだと、交通事故で絶滅するおそれもある▼車は「走る凶器」にもなり得る。交通ルールの順守はもちろん、目配り、気配り、心配りの運転を。(比嘉盛友)

八重山毎日新聞 より

http://www.y-mainichi.co.jp/news/30865/?fb_comment_id=1021686141292619_1022677041193529&comment_id=1022677041193529#f2a7a9e0a9ecebc

 

 

比嘉記者の気持ちはよくわかる。あの日、私も石垣にいた。上空を飛ぶミサイルは勿論見えないが、目の前を走る自衛隊の車や迷彩色の隊員は正直怖い、と思った。

自衛隊だけでなく海保の配備にも一般市民への不安要素が全くない、とは言えないだろう。

一義的には法執行である海保の配備、というのが私が国交省官僚経験者から教わってきた考え方である。しかし、これは戦後の安全保障概念を抱えた日本の特殊な状況である事も事実だ。多くの国は特に英連邦系であるオーストラリアやニュージーランドは軍部が法執行も担う。米国は沿岸警備隊と海軍は、少なくとも太平洋では常に一体である。

 

石垣の一般市民が認識できる脅威としてコミュティの変化だ。これだけの海保、自衛隊が入るのだ。

最近FBで石垣のキャバクラ経営者と知り合った。色々と情報をいただける。。

石垣にキャバクラがなければ業務で緊張を迫られる海保、自衛隊の犯罪も出て来るかもしれない。他方小さな島でキャバクラが増えるのは島社会への負の影響もあるのではないだろうか?

 

石垣島の一般市民が目にする脅威と、目に見えない隣国からの脅威。これを的確に認識する事は一般市民には難しいであろう。

比嘉記者には自衛隊を既に受け入れた是非与那国がどうなっているのか、バランスのある報告を期待したい。

 

と書いていたら、日本記者クラブが石垣与那国を取材した記事がある、という。

次回はその記事を紹介したい。