やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

WCPFC - オブザーバーの安全確保

WCPFC総会のニュースになっていたもう一件が、オブザーバーの件である。

オブザーバーと言っても会議のオブザーバーではなく、漁船に同船する島嶼国が派遣した監視員の事である。彼等が亡くなったり、行方不明になったりしているので、安全対策をWCPFCで合意しようとしたらしい。これに日本が、国内法との関係で当初賛成しなかったのが、非難轟々、とかの記事が出回っている。しかしこの日本の記事の情報源が怪しい。

会議に参加した真田康弘氏のツイッターは誰でも見れる。

真田康弘 ‏@Sanada_Yasuhiro Dec 12

WCPFCでクロマグロの件で風当り最悪なのに漁業監視員安全確保に関する決議案で「国内法と合わないから反対っす」と最後にちゃぶ台返しをしたことで「人命を何だと思ってる」と太平洋諸国をぶち切れさせ日本批判一色となったことに触れたNZ記事。

Complete failure of Fisheries Commission to save Pacific bluefin tuna

http://www.voxy.co.nz/business/5/270908

このツイッターに記された記事を読んだが日本が「最後にちゃぶ台返しをした」などとは一切書かれていない。最終的にテーブルの戻って合意した、とある。

当方の限られた知識では、船上の安全は旗国の責任かと思われるが、もしそうであれば国内法と照らし合わせるのは当然ではないだろうか?

それよりも、オブザーバーの安全を確保する事は当たり前だが、そのオブザーバー自身が監視能力、船上生活の規則を守れるのか、長期の船旅への健康管理ができるのか、の方が重要だと、当方は想像している。

私は、ミクロネシア連邦で展開された日本のカツオ漁船拿捕劇で、同国の外務大臣から1時間に渡って吊るし上げにあった経験があり、このオブザーバーの件に詳しくなった。

なぜか吊るし上げられたか?

空き缶を海洋投棄した、とオブザーバーが証言したことで同国の司法長官が日本漁船数隻を拿捕。何億円かの示談金を払わされた。この司法長官の暴行に同国政府は手を焼いていたのである。

それなのに、状況を正確に理解していなかった財団がこの司法長官を支援していた。何も知らされていなかった当方が実態を知る事になったのだ。

そして、この島嶼国から派遣される(と言っても、旅費から何からすべて日本の漁船会社もち)オブザーバーの実態を知る事となったのである。オブザーバーの中には見逃してやるから賄賂を渡せと言って来るのもいるそうだ。ここら辺は非公式な情報なので、情報源は書けません。

<参考ニュース記事>

Moves for better safety for fisheries observer run into trouble tuna commission

09 December 2016

http://www.solomonstarnews.com/news/business/11885-moves-for-better-safety-for-fisheries-observer-run-into-trouble-tuna-commission

PNA sees positive outcomes from WCPFC 13

Sunday, 11 December 2016

http://www.scoop.co.nz/stories/WO1612/S00068/pna-sees-positive-outcomes-from-wcpfc-13.htm