やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

PEWがナチスに見える記事

朝からイヤなニュースを見てしまった。

あの国際環境NGOのPEWが、5月19日日本政府が「違法漁業防止寄港国措置協定」の加入書を寄託したことをグレートニュース!とFacebookで流し、英国海軍の経歴を持つトニー・ロングが日本政府に拍手を送りたい、と阿呆な記事を書いている。

PEWフォロワーのコメントがすごい。

日本人はいつイルカの虐殺を止めるんだ!

クロマグロの絶滅を止めろ!

明らかに反日団体です。PEWは。ナチスと重なります。

こういう組織はよく見張っておく必要があります。支持することは有り得ない、はずだが、日本国内にはここにお金まで出そうとした人を知っている。多分何十億円も。国交省の元官僚。。

ちなみに違法漁業防止寄港国措置協定は法執行がほぼ機能していない途上国では意味がないので(下記に引用文掲載)、この事を知らないピューのIUU責任者トニー・ロングは無知なのか、プロパガンダのプロなのか。

シーシェパードリーガルはシーシェパードと関係ありません、とぬけぬけと大使館のウェッブに書く外務省大洋州課はしっかり見ておいた方がよい、です。これ外務省叩きではなく、応援。

「公海から世界を豊かに~保全と利用のガバナンス~」

39頁から

https://www.meiji.ac.jp/miga/news/2014/6t5h7p00000hl2wi-att/6t5h7p00000hl2wz.pdf

▽寄港国の取り組み強化

また、IUU 漁船を捕捉し IUU 漁獲物の市場への搬入ルートを抑えて、撲滅していく、有効な手段の一つとして、寄港国措置協定(Port State Measures (PSM)Agreement)が既に FAO で合意され、各国の批准を待っている状態にある。日本もこの協定を早期に批准することが求められる。これの協定では、漁船ばかりでなく、一般の運搬船が管理対象となるため、一般商船の航行の自由を一部制限するという困難な一面を含むものの()国内の早急な準備作業が必要だと思われる。ただし、欧米の一部に PSM が導入されれば問題が一挙に片付くという楽観論が見受けられるが、管理の弱い途上国の港が多数ある中で、PSM だけでは IUU 対策が進まないことは、よく認識されるべきである。前述の RFMO の保存管理措置の改善、過剰漁獲能力の削減、トレーサビリティー・システムの実施、途上国の管理能力向上のための支援等、様々な対策を包括的に進める必要がある。

これに関連し、IUU 漁業活動が、甚だしいケースでは、麻薬、武器、人身売買など他の違法密輸活動と密接に関連することも報告されていることから、国際刑事警察機構(ICPO・イインターポール)との連携も求められるようになってきており、各国の取り締り機関とインターポールも含めた国際機構との間のネットワーク作りを進める活動も始まっている。

また、IUU 対策のもう一つのツールである、漁船の識別のための個別漁船識別番号(Unique Vessel Identifier(UVI))の導入も進んできており、IMO 番号をこれに活用することで、各 RFMOにおいて合意が成立しつつある。

(宮原正典)