鴨川沿いの道を選んで同志社大学まで徒歩で通っている。
6月の日差しが厳しくなってきた頃、信号待ちで日陰に入った。
老舗のお米屋さんの前。
モーツアルトのレクイエムを一緒に歌いませんか?というポスターが貼ってあった。
モーツアルトのレクイエム。音大時代に歌ったな。懐かしい。
何気に写真を撮って後で詳細を見ると練習場も通学路上にある。
シューベルトのリートやイタリア歌曲は弾き歌いできるけどレクイエムは一人では歌えない。
練習を覗いて見ることとした。
同じくらいの年齢か少し上の方ばかりで「入りなさい。入りなさい。」と、とても京都人と思えない歓迎を受けた。
そう、京都の人はよそ者に冷たいのである!
一千年の都とモーツアルトという組み合わせも興味深い。
最初は緊張したが、一度歌うと旋律の記憶が蘇る。
それにこの鴨川混声合唱団は、音楽が好きな人だけが集まって、音楽を楽しんでいる。
音楽学校に行くと音楽を楽しんで、というより義務としてプレッシャーに感じる事が多かった。
その事も何か新鮮に感じた。
鴨川沿いを歩きながらモーツアルトのレクイエムを口ずさむ。
ラテン語の響きが一千年の都の歴史とつながる。
鎮魂の祈りが先に旅立った家族や友人とつながる。
ロームシアターでの発表会は二年後である。