やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて30年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

30億円の基金を任されて(6)

1988年に笹川平和財団が開催した「太平洋島嶼国会議」の成果として翌年設立された30億円の「笹川太平洋島嶼基金」を4人の大の男がこけさせた理由は明確だった。

誰も太平洋島嶼国の事を知らないのである!私が財団に入る前に辞めてお会いしたことのない担当者は、残されたコレポンや書類から何も知らないのレベルではなく事態を混乱させている状況が見えてきた。財団に残っていた三人とは島嶼国の話をした事もない。裏金づくりを唆されたりセクハラ・パワハラしか記憶にない。

太平洋島嶼国のことを知らないのは問題ではない。勉強すればいいだけだ。誰も勉強しないのだ。勉強とは情報収集である。一番の問題は人の話を馬鹿にして聞かないのだ。

まあ、確かに50代のおじさんたちが20代の小娘の話を聞きたくないよね。気持ちはわかるよ。

太平洋島嶼国の問題は、先進国が絡むハイポリティクなのだ。核問題を含む高度な安全保障問題である。これがわからない太平洋島嶼国を扱えない。今日話題になっているイラン、北朝鮮の核の問題も太平洋の安全保障に直結しているのだ。これは今度書こう。

太平洋島嶼国は単なる南洋の楽園ではない。

最初の事業が衛星通信であった事は、私にとって幸運であった。咄嗟に理解できたのだ。こも構図が。。。

財団の中に太平洋島嶼国を知る人がいなければ、外の専門家に頼るしかない。これも幸運だった。すなわち、自分で情報源を、知識を、叡智を選べるという事だ。

この太平洋島嶼国のハイポリティクス、安全保障問題を日本で議論しているのはあの「樋口レポート」を書いた渡辺昭夫先生しかいなかったのである。私は渡辺先生の本を読み、財団に入った5年後の1996年には当時渡辺先生がいらした青学の門を叩いのだ。

そして、私が2つ目の修士を取り終わった後の1999年。島嶼基金の運営委員候補リストを作れという指示があった時、迷わず渡辺先生の名前をいれた。渡辺先生は島嶼基金の第二代運営委員長として、基金の第二次ガイドラインを作成し基金運営をより政策的な方向に進めていただいた。これが全て、現在日本財団笹川平和財団が支援しているミクロネシア海上保安事業につながっている。