ピーター・ナヴァロが『米中もし戦わば』で引用していたジョン・ミアシャイマーの"China's Unpeaceful Rise " 。ウェブにあって3ページと短い。
Mearsheimer, John J. (April 2006). "China's Unpeaceful Rise" (PDF). Current History. China and East Asia. Current History Magazine. 105 (690): 160–162.
http://mearsheimer.uchicago.edu/pdfs/A0051.pdf
なぜ、中国の膨張は許されないのか?私は日本の100年前の膨張と今の中国の膨張を比較して考えることが多い。どこがどう違うのか?
ミアシィアマーは中国の台頭が平和的あることは有りえない、と冒頭で断言し、それを説明する国際政治理論として覇権競争のあり方を議論する。地域覇権を獲得した国家は他の覇権がその地域に及ばないよう、再度脅威が台頭しないよう、予防すると主張。
覇権の歴史を米国を中心に議論する中で20世紀に4つの覇権が地域を脅かしたことをあげている。
1900−1918 ドイツ帝国
1931−1945 日本帝国
1933−1946 ドイツナチス
1945−1989 ソ連
(1898年という数字が出てきて何のことだろう?と調べたら米西戦争か!)
次に中国の将来を予測。国際政治ではバンビよりもゴジラを選ぶ。中国は日本が1930年代にしたことをするであろう。(満州事変以降か)そして台湾を取り戻そうとするであろう。しかし、中国の台頭が米国と違う可能性はあるか?ワシントンより節操を持ち、倫理があり、国粋主義でない可能性はありえない。
よって米国はソ連に対峙したように中国に対峙するであろう。そして戦略的重点を台湾に置き東南アジアのシーレーンを管理するようになるであろう。日米が台湾を中国に譲り渡すことはありえない。
野心的覇権がユーラシアに現れた時、親善は意味をなさず、国際政治は厄介で危険なビジネスとなる。これが覇権政治の悲劇である。
実はミアシャイマー、読んだことがない。2006年に書かれた彼の予想は今現実なっているのであろう。矢内原が蠟山の覇権主義を「思想言論態度は自殺的矛盾」と読んだ意味がまた一つわかったような気がするが、1931年以前の日本の植民地政策は覇権ではなかった、のだろうか。
「南洋委任統治問題の帰趨」蠟山政道、改造1933年5月号
https://yashinominews.hatenablog.com/entry/2018/05/01/070251