やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

中国の軍事基地となるバヌアツ:その後

この4月、バヌアツに中国軍の港湾が、というニュースがオーストラリア発で世界に流れた。既に4回に分けて事情を書いてきたが、その後もニュースをフォローしている。

 

バヌアツ - ミュージカル南太平洋の舞台から中国軍事基地へ(1)

https://yashinominews.hatenablog.com/entry/2018/04/13/190439

バヌアツ - ミュージカル南太平洋の舞台から中国軍事基地へ(2)

https://yashinominews.hatenablog.com/entry/2018/04/13/191629

バヌアツ - ミュージカル南太平洋の舞台から中国軍事基地へ(3)

https://yashinominews.hatenablog.com/entry/2018/04/13/192711

バヌアツ - ミュージカル南太平洋の舞台から中国軍事基地へ(4)

https://yashinominews.hatenablog.com/entry/2018/04/13/193501

 

このニュースは中国がバヌアツ首相の新たな公式住居—公邸を建てたことを書いている。

そしてもしバヌアツが中国の軍港になるのであれば、ジプチに続く世界で2つ目の軍港になる、と。

Expanding influence: China approaches Vanuatu to create South Pacific military base

By Asian Correspondent Staff | 10th April 2018

https://asiancorrespondent.com/2018/04/expanding-influence-china-approaches-vanuatu-to-create-south-pacific-military-base/#5FbTYFjlgdQHjOUq.01

 

この記事もレゲンバヌ外相が中国の軍事基地化を否定していることに警戒を示している。まずバヌアツは、米軍の主要な軍事基地であるグアムと対峙するであろう。それにバヌアツはミサイル、ロケット、インテリジェンス基地としても最高の土地である。(思い出して欲しい。中国が港湾を作ったサント島はケネディ大統領もいた第二次世界大戦の時の連合軍の後方基地であった)バヌアツだけでなく、トンガ、クック諸島、パプアニューギニアその他みんな中国からの債務を抱えその返済がさらなる債務となって押しかかっていることをIMFが指摘。(今頃指摘?IMF中国の投資や観光客読んでこいってレポートに書いていた記憶がる。アジ銀だったか。)

What is China doing in Vanuatu?

By Alistair Denness | 18th April 2018

https://asiancorrespondent.com/2018/04/what-is-china-doing-in-vanuatu/#JpzVetK9MoFmQpEi.97

 

この記事は中国の軍事基地化とは関係ないのだが、バヌアツの刑務所を取材した記事。小さな島国の社会情勢が不安定で家庭内暴力は増え、法執行もままならない。公邸すら、官庁すら、インフラでさえも人たちで作れない。離島開発もできず、溢れ出る人口は都市に集中。だからサント島に港ができるのは第二の都市ができ、仕事もできる、という意味である。この刑務所には船長を殺したインドネシアの漁師も収監されている。

Inside the grim prisons of Vanuatu

May 22 2018

https://www.stuff.co.nz/world/south-pacific/104018732/inside-the-grim-prisons-of-vanuatu

 

この記事も中国の軍事基地化に関係ない。女性の議員をもっと増やせという請願だ。世界が軍事基地のニュースに注目している中、6歳の女の子がレイプされ殺された。バヌアツの人々にとってはこちらのニュースの方が重要だ。海洋安全保障、というと中国の脅威をすぐあげるが、その島に住む人々、特に女性や子供の安全保障を考えるべきだ。

Vanuatu women petition PM and start new political party

23 May 2018

https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/358018/vanuatu-women-petition-pm-and-start-new-political-party

 

最後は数日前にニューヨクタイムズからでた記事。著者は知り合いだ。

バヌアツの港、首都のポートビラの方は日本の支援。日本と中国どう違うか調べている。

日本はgrace period が10年。0.55%の金利で40年。

中国は grace period が5年。2.5%で15年。

それよりも契約条件に問題が。返済できない場合は「中国の法律、中国国際経済貿易仲裁委員会で処理」される。中国、合法的植民地化と法律の使い方わかってる。

"And the contract is entirely subject to the laws of China and any arbitration must be done via CIETAC — the China International Economic and Trade Arbitration Committee."

この記事書いたBen Bohane記者、見直した。

Vanuatu Denies Chinese Wharf Poses Threat to Australia

By Ben Bohane June 13, 2018

https://mobile.nytimes.com/2018/06/13/world/asia/vanuatu-china-wharf.html?rref=collection%2Fsectioncollection%2Faustralia&action=click&contentCollection=australia