やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

小野寺五典議員の論文とEEZ

 元防衛大臣、小野寺五典議員が1996年に発表した下記の論文、意外と知られていない。海上自衛隊元幹部も知らなかったので以前も取り上げたが再度リンクします。

小野寺五典, 廣吉勝治 「日米漁業摩擦の起源とその背景:いわゆる「ブリストル湾事件」に関する素描と一考察」 北海道大學水産學部研究彙報, 47(1), 13-29 1996-03

https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/24155/1/47(1)_P13-29.pdf

 

 戦前の日本の遠洋漁業発展が日米摩擦になり、戦争の一因ともなり、戦後のEEZ制定にもつながったのである。それほど日本の漁船はすご勢いで世界中に広がり、海洋を面として開拓したのである。なので日本のEEZは世界6位、とか言うのはちょっと違うのではないか、と思っている。確かに6位であること事実だが、実は世界の海を日本は制覇していて、EEZは日本漁船、もっと言えば日本の海洋権益追い出し政策であった、とも言える。

 そもそもEEZを領海の拡大のように捉えてならないと歌手布施明さんのお兄さんも主張している。

 EEZを領海のように認識するのはまさに中国である。また同じことが太平洋島嶼国や途上国にも言える。パラオの海洋保護区の国際法上の問題点を当初誰も指摘していなかったことはまさにEEZの領海化の流れであろう。

それでいいのか?EEZは領海ではない。限定的な管轄権があるだけだ。