やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

現地企業との付き合い方 ー インテリジェンス講座その6

太平洋島嶼国には日本の企業も現地に根ざしながら結構頑張っている。島嶼国政府は汚職体質だし市場経済の常識が通じない上、法もゆるい。 マーケットが小さい上に今回のコロナや台風の被害でもあれば観光業などは大打撃だ。 なので、このような企業が多少怪しいビジネスに手を出す気持ちもわかる。私が島でビジネスをやったら必ずやっている、と思う。

私も現地で動く時は情報源として、移動手段などとして利用させていただいた。彼らの方が断然情報を持って、、とも限らないが、私とは違う視点の情報を持っているのだ。

同時に彼らを取り巻く情報収集も欠かさなかった。 具体的にはカジノや、マネロン、タックスヘイブンなどの事業に手を出し、政府高官への袖の下などは当たり前という情報は、その企業のライバルや恨みを持っている人物を探せば容易に収集できる。ただそこまでの現地の人間関係の把握はちょっとした努力が必要だ。

私は海洋保安庁や国交省と現地に入って彼らの語学能力だけでなくこのようなインテリジェンス能力がゼロというかマイナスの状態を目の前で見てきて愕然とした。オフィシャルなアポだけで後は観光に行こう!と。観光でもいいのだ。バスの運ちゃんや観光地の人たちから情報収集すればいいのだが。。

島社会は狭いので、案外バスの運ちゃんの奥さんが大統領の親戚だったりして「あの大統領は麻薬配ってんだよ」と一見観光客風の私にペラペラとなんて事がある。

本当にペラペラとみんな話してくれる。ハニトラ必要なし!10ドルのカレーランチ奢っただけで日本の元大使のタックスヘイブンビジネスまで話してくれた弁護士もいる!(噂では聞いていた話は本当だったんだ。。と)

ところで、最近太平洋島嶼国への関心が高くなって多方面から照会がある。見ていて危ない!と思う事も多々。みんな島の深ーい闇を知らない。闇が見え始めた2、3年で異動する。先日新任から「よろしくお願いします」とのメールが来た。なんと私が伝えたマル秘情報をまったく引き継いでいないのだという。またゼロから説明するの!

日本政府が現地の日本企業を積極的に利用することは賛成。しかし一歩線を引いておくことが必要だ。 具体的には彼らの活動を直接支援することはしていけない。 以前何も知らない外務省大洋州課にその動きがあって必死に止めたことがある。私の意見を聞くか聞かないかは先方の勝手。

当時の大洋州課長からお礼のメールが来た。今省内かなり出世されている。 ちょっと調べればその企業が日本で何をしているのかわかるのだ。私はバヌアツには10位の情報源がある。そこからの判断だ。 繰り返すが、現地法人企業を積極的に利用せよ。 しかし、利用されてはアカン。