やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて30年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

『国家平等理論の転換』田畑茂二郎1944年メモ

大東亜共栄圏を国際法の立場で推進していた、田畑茂二郎博士の1944年、終戦間近の論文である。国会図書館のデジタル資料で読める。

大東亜共栄圏の中で独立国家を認めるか、日本の支配の下に置くか、という議論に対する答えだと思う。酒井哲哉著「国際関係論の成立と国際法学」(2002 世界法年報)には、大東亜構成員の形式的対等性を採る平和機構を構想した重光外交の援護射撃という性格を持つもの、と記されている。

軍部の暴走を抑えるために、あらゆる方法を取ったのであろう。味方とみせかけて説得していく方法をとったのかもしれない。

田畑の国家平等原則の議論はその起源などがグロティウスまでに遡って詳細に書かれており、難しいが勉強になった。最後に国家が平等であるわけない、とまあ当たり前のことが書かれているが、田畑先生が2万人のパラオを見たらどう思い、どう議論されるであろうか?

中国も案外この論文を読んでいて、小国の独立をどんどん支援し、実際には国家の平等などあり得ないのだから、あらゆる方法で手中に収めているのではないだろうか?

また、戦後英連邦国家群が健在で、エリザベス女王を君主にしている小国も多々ある。小国はそれを押し付けられているのではなく、自ら選んでいるのだ。英国の植民政策を軍部が少しでも理解していれば日本の歴史は違っていたであろう。