やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて30年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

フランス艦船 台湾海峡を通る

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France confirms naval presence in Taiwan Strait - Focus Taiwan

各国軍艦が台湾海峡を通る中でフランスもフローレンス・パルリー国防相が上院の公聴会で、フランスは国際法と航行の自由の遵守を示すために海軍を使用すると述べ、その証拠として台湾海峡での信号情報船デュピュイドロムの操船を挙げた。

5日間の台湾訪問を終えた同議員は、訪問中に出会った台湾の議員から、台湾海峡の安全を確保するためにパリからの支援を望む声があったと述べました、ある通り議員交流も活発だ。

日本の戦艦は台湾海峡を通らないのだろうか?

 

話が変わって「国際海峡」の件。台湾海峡や津軽海峡が「国際海峡」と書くメディアがあって、国際法上の「国際海峡」と、一般的な「国際海峡」が、ごっちゃになってしまいました。

 

大阪大学の真山全教授(国際法)のインタビュー記事があった。歴史的背景も説明されている。

台湾海峡は国際法の定める通過通航権が適用される国際海峡でもありません ー

1949年に蔣介石の国民党政府が大陸から台湾に逃れた際に、共産党側がそこを越えてきたら色んな対応をとるということを示すために海峡の真ん中に作戦用の線を引いたからです。

台湾海峡「中間線」とは 続いた暗黙、今後は懸念も:朝日新聞デジタル

www.asahi.com

さらに中露軍艦の通航で話題になっている津軽海峡。これも国際海峡とメディアを中心に書かれている。しかし下記の「新海洋秩序と海上保安法制」にある村上論文によれば、現状維持をするために、国際法の上の「国際海峡」にせず、領海を狭めた理由が詳細に書かれているのです。

https://www.jcga.or.jp/reports/pdf/2_1992.pdf

 

第80回国会 衆議院 予算委員会 第12号 昭和52年2月23日 より

046 藤田高敏

○藤田(高)委員 今日政治家に求められております一番重要な要素は、私は政治家に対するモラルの問題だと思うのです。そういう観点からも、今後政府の役職につく者についての適格性については、ただいまの答弁にありましたように、きわめて厳格に処置されることを強く要請をいたしておきたいと思います。  さて、私の持ち越しになっておりますいま一つの問題は、領海問題であります。  今回、政府はわが国の領海を十二海里にするという方針を決定し、この国会に法案を提出することになっておりますが、その中に、いわゆる世界にも類例を見ない領海の幅を決定する地域があるということがせんだっての私の質問で明確になったわけであります。いわゆる国際海峡にかかわる部分についてのみ三海里にするという、いわば主権を制限するような領海設定をやろうとしておるのはどういうことかということについての答弁が保留されております。これについて答弁を求めたいと思います。
 
047 鈴木善幸
○鈴木国務大臣 領海幅員を十二海里に拡大するに当たりまして、当面の対応策として、いわゆる国際海峡のような水域につきましては当分の間現状のままとする理由について、十四日の当委員会において藤田委員から御質問がありましたが、この問題に関する政府の見解は、藤田委員からの御要求に基づいて取りまとめて提出をした資料のとおりでございます。それを読み上げてみます。   領海幅員を十二海里に拡張するに当たり、国  際航行に使用されるいわゆる国際海峡における  通航制度をどうするかが重要な問題となるが、  この問題については、現在国連海洋法会議にお  いて、一般領海の無害通航制度に比しより自由  な通航制度を認める方向で審議が進められてい  る過程にある。国民生活の安定と繁栄に不可欠  な資源の大部分を海外から輸入し、貿易、海運  に特に大きく依存する海洋国家、先進工業国と  してのわが国独自の立場からしても、こうした  方向に沿ってマラッカ海峡等の国際交通の要衝  たる海峡における商船、大型タンカー等の自由  な通航を確保することが総合的国益の観点から  ぜひとも必要であること、わが国としては、本  問題がこのような方向で国際的に解決されるの  を待つことが望ましいこと等から、当面の対応  策として、いわゆる国際海峡のような水域につ  いては、当分の間、現状を変更しないでおくも  のである。   なお、今般、いわゆる国際海峡にかかわる部  分について暫定的に領海の幅を現状のままとす  ることは、いわゆる国際海峡における通航に何  ら変更を加えるものではないので、わが国の権  限の及ぶ限りにおいて非核三原則を堅持すると  の従来の立場を変更するものではなく、また、  かかる措置をとることは、前記の理由に基づく  ものであり、非核三原則の問題とは関係がな  い。  こういう見解でございますので、御了承をいただきたいと思います。