豪州の新政権の動きの中で、気になっていたのがAusAID ー日本のJICAに相当する機関の外務省への統合である。
AusAIDと言えばこの数年、2倍の予算増加を推進し、国防省も羨む存在だった。
安全保障研究者のアンソニー・ベルギン博士などは国防省予算であった海洋安全保障は今後AusAIDで、と主張していた程だ。
標的となった理由の一つが過剰な職員予算のようである。
2008年のAusAIDの職員は655。昨年2012年には2124人と約3倍以上にふくれている。この急な人員の伸びは事業予算の増加より大きいと言う。
日本でいえば、JICAがなくなったというような大事件である。
AusAIDの前身Office of the Australian Development Assistance Agency は1973年に創設。
40周年記念を数ヶ月後に残し、姿を消した事になる。
豪州の援助といえば「紐付き」を公言している事にショックを覚えた事を今でも記憶している。
AusAIDのパンフレットに、「援助は国益のためです。紐付きで、豪州の経済を支え、豪州人の仕事を増やし、また途上国に将来の経済パートナーを育成するためです。」と書いたあった。
流石に豪州人でさえ、こんな身も蓋もない書き方は不味いでしょう、と反省し数年前に削除されたと思うが精神は変わっていないだろう。
AusAIDの消滅で、豪州の国内事情も気になるところだが、問題は太平洋島嶼国への影響である。
開発援助ー外交、経済、政治、安全保障と国の根幹でもある。今後もフォローしていきたい。
参考記事
Federal government savings will start with AusAID bureaucracy
DAVID CROWE / THE AUSTRALIAN / OCTOBER 18, 2013
Felled before forty: the once and future AusAID
By Robin Davies on October 31, 2013