やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

許してから忘れるか、忘れてから許すか

「許してから忘れるか、忘れてから許すか」 3D映画『不思議の国のアリス』を娘と観に行った。 『アリス』を初めて読んだのはジョン・レノンのエッセイがきっかけだった。数学者、ルイス・キャロルが言葉遊びをふんだんに入れた物語であることを知った上で読…

水産庁もミクロネシアの海上警備支援か?

水産庁もミクロネシアの海上警備支援か? スポーツ紙であれば、タイトルの「か?」の前で2つ折りにして出したい所である。2010年5月28日、海洋政策財団主催する第70回海洋フォーラムで興味深いニュースを得ることができた。 同フォーラムは、今年3月末にド…

再びパラオと普天間代替基地

再びパラオと普天間代替基地 パラオのアンガウル島が普天間代替基地に手を挙げたことを5月12日のブログで紹介させていただいた。 yashinominews.hatenablog.com 今となっては笑い話か、とも思ったが、柳澤協二前内閣官房副長官補の最近の発言を知ると、笑い…

環インド洋連合7カ国は荒野の7人か? - オーストラリアのインド洋政策 (2)

環インド洋連合7カ国は荒野の7人か? - オーストラリアのインド洋政策 (2) 前回のブログに早速コメントを”メール”でいただきました。 大変面白いので私一人で独占するのはもったいなく、掲載させていただきます。 但しご本人の了解をまだ確認していないの…

陽は太平洋から昇りインド洋に沈む - オーストラリアのインド洋政策

陽は太平洋から昇りインド洋に沈む - オーストラリアのインド洋政策 桜に浮かれて、完璧に見逃していた。防衛大学の福嶋先生から、Anthony BerginとBatemanがインド洋を巡る海洋政策の報告書を出した、とこの前お会いした時に伺った。 31 MARCH 2010 "Our we…

陽はガンジス川から昇る

陽はガンジス川から昇る www.youtube.com 2010年豪州のスミス外相は陽はインド洋に沈むと言ったが、17世紀イタリア人は、陽はガンジス川から昇る、と考えていた。 スミス大臣のインド洋政策をまとめながら好きだったイタリア古典歌曲の代表作が頭に響いてい…

金持ちはベントレイを買い、百姓は赤子を売る  ― 初めてのベトナム

金持ちはベントレイを買い、百姓は赤子を売る ―初めてのベトナム 2009年11月、古い友人キエン・ファン氏を訪ね、初めてベトナムへ行った。10年前、キエンの消息が知りたくてある人に付いて飲みに行ったら、暴力を振るわれた。そのことを忘れる努力をしてきた…

情報のイズルところに人集まる

情報のイズルところに人集まる やっぱり情報を発信すること=(イコール)情報収集なのだ。 国立音大を出て、陸上自衛官になったS女史から会いたい、とご連絡をいただいた。 なんで音大を出て東大卒相手に海洋安全保障なんてやってるんだろう?と自分を疑問…

「百聞は一見に如かず」ならぬ「百読は一見に如かず」

先に御紹介したオーストラリア関連の論文3本を執筆された防衛大学の福嶋教授と夕食をごいっしょする機会をいただいた。 「百聞は一見に如かず」ならぬ「百読は一見に如かず」。 3論文についてアレコレお話を伺い、防衛省関連の話し(ウグイス嬢作戦とかそ…

オーストラリアを知る2つの福嶋論文

2010年5月2日のブログで御紹介させていただいた防衛大学の福嶋輝彦教授が2009年に2つのペーパーを発表された。 「日本外交における対オーストラリア関係の意味」 (櫻川明功他『日本外交と国際関係』内外出版、2009) ”Region is Thicker Than Blood?: Th…

桜数寄

今年は、京都で桜尽くしだった。 桜数寄 常照皇寺 吉野山 醍醐平安 祇園白川(島女) 昨年は東(あずま)の桜尽くし 桜数寄 上野靖国 外堀と 強羅露天に 散るはひとひら (島女) 花と呪術が気になって、調べていたら下記の本を見つけた。 折口信夫を継承し…

太平洋に消えるお金の話し

パラオ、アンガウル島のリゾート開発計画 Solaris City パラオのアンガウル島が普天間代替基地に手を挙げた話しは、反響が大きく、もう少しちゃんと情報を得るように、との御指示もありました。 早速、パラオの知人に連絡したところ、今パラオ国内では普天間…

オーストラリアのコーストガードとMateship

オーストラリアのコーストガードとMateship ウェッブで調べた範囲ではオーストラリアには確かにボランティアのコーストガードしかないようである。1937年に設立されたRoyal Volunteer Coastal Patrolと1961年設立のAustralian Volunteer Coast Guardだ。 前…

普天間代替基地にパラオも手を挙げた

普天間代替基地にパラオも手を挙げた 北マリアナに続き、パラオ共和国のアンガウル州(島)が普天間代替基地に手を挙げた。4月下旬、パラオ議会で決議を採択。 アンガウル島は南洋庁時代、450万トンもの燐鉱石が採掘され、戦後も10年間採掘が続けられ日本の…

木瓜の花

梅、椿、桜とめまぐるしく咲き続けた花に混じって木瓜の花も時折姿を見た。「見た目」がそれほど劣る訳でもないと思うが、その名前のせいか、それともひどい刺を持つせいか、世間から忘れられた存在、のような気がする。 木瓜の花って我母校、国立音楽大学の…

オーストラリアの沿岸警備

「オーストラリアの沿岸警備」 人口一人当たりのEEZを東京ドームで測ると 半分強―日本 10個分―オーストラリア 20個分―ニュージーランド 580個分―ミクロネシア連邦 650個分―パラオ共和国 720個分―キリバス 760個分―マーシャル諸島 全世界のリストを作ると面白…

君子愛日以学、及時以行

君子愛日以学、及時以行 君子は日を愛しみて以て学び、時に及びて以て行う 中国の大戴礼記(だたいらいき)の一節。 娘が暗誦している。今週130周年記念を迎える小学校の校訓である。 毎日、毎日文章を書く事は、修業に似ている。 ほぼ日刊を目指しています。

大吉祥経

京都の伏見稲荷を初めて訪ねた。 小さなお寺がたくさんあり、「大吉祥経」が配られていた。 愚かなる者に親しみ近づかぬが良い かしこき人々に近づき親しむが良い 仕うるに値するものに仕うるが良い これが人間の最上の幸福である 「愚かなる者」かどうか、 …

「鞍馬の蛇」

あかねさす 紫の行き 標野ゆき 野守は見ずや 君が袖振る 紫の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆえに 我恋ひめやも 「鞍馬の蛇」 ゴールデンウィーク、世界的なタロイモ研究の権威M博士の家族と鞍馬へ行った。奥様も植物学者で、これが芹、山葵、クレソン、白…

魚を持つ国、持たない国、獲る国

魚を持つ国、持たない国、獲る国 2010年2月25日、パラオ共和国においてナウル協定メンバー国による初のサミットが開催された。ナウル協定は太平洋の漁業資源が豊富な8カ国から構成される。(パラオ、マーシャル、ミクロネシア連邦、キリバス、ツバル、ナウ…

沖縄と太平洋を結ぶもの

(2001年ごろ書いた文章です。) 沖縄と太平洋を結ぶもの 日本と太平洋島嶼国の関係を構築する際に東京を窓口にして発展性が望めないという印象を持っている。それは経済規模の違いだけでなく豊かさの価値観の絶対的な違いが見られるからだ。さらに言えば東京…

太平洋島嶼の地域政府機関

1.太平洋島嶼の地域政府機関 2.Secretariat of the Pacific Community(SPC) 3.Regional Maritime Programme(RMP)について について整理メモ ーーー 1.太平洋島嶼の地域政府機関 1.1 太平洋島嶼国は夫々の国の規模が小さいこともあり、現在下記10の地域政…

米国が太平洋地域に海洋保護区を創設

(2009年1月に書いたものです。) ̶̶̶ 2009年1月6日、米国が太平洋地域に海洋保護区を創設 1. 対象地域 太平洋にある下記の米領の島、環礁で、北西はマリアナ諸島から、東南は米領サモアのローズ環礁まで点々と連なる地域である。各島の50海里までを保護区に…

新刊『アジア太平洋と新しい地域主義の展開』

新刊『アジア太平洋と新しい地域主義の展開』 <環太平洋連帯構想から30年―故大平正芳首相の生誕百年> 当方の2つ目の修士論文の指導教官、渡辺昭夫先生が編集された『アジア太平洋と新しい地域主義の展開』が先月4月に出版された。今年APEC主催国をつとめ…

米国政府が「珊瑚礁の三角地帯」支援に向け6百万米ドルを拠出

(2009年3月に書いたものです。) <米国政府が「珊瑚礁の三角地帯」支援に向け6百万米ドルを拠出> ソロモンスター 2009年3月11日 パプアニューギニアで開催されている「珊瑚礁の三角地帯イニシアチブ」大臣・高官会議において、米国大使が同活動に対し新た…