やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2022-01-01から1年間の記事一覧

中国の植民地、ニセコ(番外編)Niseko, a Chinese colony (Li Ka-shing)

私のタイプではないが、この甘いマスクで富豪に成り上がった李 嘉誠。彼が中国のニセコ植民地化の張本人なのであろう。彼を知ることがニセコ始め、中国脅威論を知ることに 今回のニセコ訪問は、三合会がニセコをどのように侵食しているのか?という関心であ…

中国の植民地、ニセコ(5)Niseko, a Chinese colony (5)

中国の植民地、ニセコ(5) ニセコを中国の植民地とした張本人である香港資本の前に、ニセコ・倶知安町が世界のスキーリゾートとなった歴史も書いておきたい。と言っても100年の歴史である。これはプロスキーヤーでもあった、田中義人町議から以前聞かされて…

中国の植民地、ニセコ(4) Niseko, a Chinese colony (4)

中国の植民地、ニセコ(4) 「オーディン」という北欧神話の神を社名にした会社のオーナーはニコラス・ゴーンタルドという香港在住のフランス人であった。英語のインタビュー記事をいくつか見つけた。 ゴーンタルド氏はBluetooth対応携帯電話で動作するよう…

中国の植民地、ニセコ(3) Niseko, a Chinese colony (3)

中国の植民地、ニセコ(3) Niseko と言う名前は世界共通言語になっている。今回訪ねたのはニセコと言ってもニセコ町ではなく隣の倶知安町である。なぜ「くっちゃん」ではなく「ニセコ」なのか?田中町議に聞き忘れた。両方とも語源はアイヌ語だ。「ニセコ」…

中国の植民地、ニセコ(2) Niseko, a Chinese colony (2)

中国の植民地、ニセコ(2) 「ニセコはどうにかなりそうですか?」 初めて直接お会いする田中義人議員に聞いた。 「もう手遅れです。今は他の地域がニセコのようにならないよう、状況を説明する努力をしています。ニセコほどではないが、北海道至る所同じよ…

中国の植民地、ニセコ(1)Niseko, a Chinese colony (1)

中国の植民地、ニセコ(1) 「リエコ、ニセコに3ベッドルームのコンドミニアムを数週間予約してあるんだ。子供たちの家族が来る前に来ないか?」 欧米人の大型ホリデーはクリスマスである。8月ではない。 顔面麻痺で今回スキーはできないが温泉に入ってニ…

MARSEC memo

某国、国防省からの照会があったのでまとめたメモ。表に出して良い内容と思うのでここに。。 There is almost no maritime security law enforcement in the Marshall Islands, FSM. Or there is probably almost no maritime security law enforcement in P…

2022年の国防戦略(NDS)- Ashley Townshend評

10月27日にかなり遅れて発表された米国2022年国防戦略。 米国専門家の評がどんどん出てる。今日Twitterで見つけたのが豪州のAshley Townshend氏の評だ。 機械訳をかけてみた。 Biden’s National Defense Strategy (NDS) is finally out. From an Indo-Pacifi…

安倍総理の遺産!日豪安全保障協力大きく前進

本日、2022年10月22日。豪州パースにおいて日豪の安全保障枠組みが大きく動いた。岸田首相が豪州を3日間訪問。下記の合意文書を署名。 英語を機械訳で貼っておく。 Australia and Japan Strengthen Security Cooperation | Prime Minister of Australia メ…

フィジークーデターの真相・マホガニーを巡る英米中の暗躍

中国の一帯一路。過去の英米日仏等々の植民地拡大と大差ないどころか、中国より酷いと思うことが多々ある。 久しぶりに訪ねたフィジーで以前から気になっていたクーデターの背景を改めて調べた。背後にはマホガニー投資をめぐる英米の駆け引き。フィジー国内…

世界最古の三合会に関する学術論文

地域研究の元祖は、植民地運営にある。そしてそれはアダム・スミスの人文主義の影響を受けたラッフルズが代表的で、日本の後藤新平による植民はその影響を受けていることを、後藤自身も、新渡戸も、そして後藤の植民政策を第二次世界大戦に反対する意味で書…

Benjamin Neuberger 自決権の議論

最近の自決権の学術議論をウェブで検索していたら見つけた論文である。 論文自体は1986年のもので1987年に家正治氏が数ページに要約している。第一章が自決権の学問上の起源、とあるのでここは原文を読んでみたい。 家 正治 ベンジャミン・ニューバーガー『…

フランスのインド太平洋シリーズ・一覧

プーチンの自決権

私の専門分野の太平洋島嶼国に関して、その歴史も文化も政情も、時事もフォローしていない、外交官、教授、学者を名乗る人がメディアで発言するのを見ると、その間違いや誤解に身の毛がよだつ。現地の人々が命がけて動いている事を私は知っているからだ。 同…

フランスのインド太平洋シリーズ・メガ海洋保護区の今(3)

France in the Indo Pacific-MPA Marie Moana https://twitter.com/i/spaces/1MYGNgWPWaZJw?s=20 6月に開催されたifriとSPCの共同開催会議で、出席者のPierre-Yves Le Meur氏が(Researcher in environmental anthropology and ethnoecology, Research Inst…

フランスのインド太平洋シリーズ・メガ海洋保護区の今(2)

France in the Indo Pacific-MPA of Kiribati: something fishy https://twitter.com/i/spaces/1yNGaNjpreVJj?s=20 長くなってしまったので2つに分ける。 このパラオ、キリバス、米国が進めるメガ海洋保護区が「絵に描いた餅」というだけでなく「胡散臭いも…

フランスのインド太平洋シリーズ・メガ海洋保護区の今(1)

France in the Indo Pacific-Marine Protected Area :IUCN フランスのインド太平洋シリーズの7回目は英仏のインド太平洋のある領土、島がどういう状況かをまとめようと思った。そして欧州の小さな海域で漁業権の争奪戦をするより広いインド太平洋で漁業をし…

フランスのインド太平洋シリーズ・蚕と牡蠣が結んだ日仏海洋協力

France in the Indo Pacific/Japan France maritime cooperation https://twitter.com/i/spaces/1MYGNgWYXyXJw?s=20 日仏関係の中でも海洋を中心にメモしておきたい。 <蚕が結んだ日仏関係> 海上自衛隊が2022年第4回日仏共同訓練「オグリ・ヴェルニー」を…

見捨てられたアンガウルの墓地と⛩

パラオに海底ケーブルは不要と、ろくな調査も勉強もせずに書いた慶応の土屋太陽と菅谷だけは一生許さん!ちょうど私がミクロネシアの情報通信制度改革を進めてる時でした。幸い、世銀とアジ銀の後押しがあって進みましたが。 I will never forgive Tsuchiya …

フランスのインド太平洋シリーズ・パスカル女史のインド太平洋報告書

Twitter, Spaceでも話しました。 France in the Indo Pacific-Chatham house report by Cleo Pakal https://twitter.com/i/spaces/1yNGaNjMPAEJj?s=20 In March 2021, Chatham House published a report entitled Indo-Pacific strategies, perceptions and …

フランスのインド太平洋シリーズ・Building Bridges over the Blue Pacific

スペースでも話しました。 France in the Indo Pacific MPA paper by Celine Pajon https://twitter.com/i/spaces/1vAxRAoZPZPJl?s=20 Building Bridges over the Blue Pacific. Beyond Marine Protected Areas – A Europe-Oceania Cooperation | IFRI - Ins…

速報:リーク文書、ミクロネシア3カ国米国を激しく批判

核実験に関して無視の対応をとる米国に対し、マーシャル諸島代表団は米国訪問を蹴った。 そして新たなリーク文書が出た。ミクロネシア3カ国、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島の在米大使からNSCのインド太平洋担当官カート・キャンベルに当てられた…

フランスのインド太平洋シリーズ・フランスのEEZ

Spaceでも話しました。 France in the Indo-Pacific EEZ and colonial history https://twitter.com/i/spaces/1dRKZMBYEpaxB?s=20 フランスは広大なインド太平洋に領土がある。その領土が広大なEEZsを形成している。 これがフランスのインド太平洋における重…

フランスのインド太平洋シリーズ・ifriの海洋保護区セミナー

Spaceでも話しました。 France in IndoPacific ifri online seminar what is MPA https://twitter.com/i/spaces/1yoJMZNZROdxQ?s=20 <フランス研究所への協力> フランスの研究所、Institut français des relations internationales(ifri)の太平洋事業に協…

近代スコットランドの教育制度に関する一考察<読書メモ

ジェームズ4世, John Knox, John Calvin ニュージーランド学会でニュージーランドの教育に関して発表することとなった。 スコットランド伝統教育観がどのようにニュージーランドに、そして太平洋にも波及したかと話す予定です。共同発表なので私の時間は5…

キリバス共和国、憲法の危機(4)

キリバスの法の独立を巡るINTERNATIONAL ASSOCIATION OF JUDGESー国際裁判官協会のコメントを紹介したい。国際裁判官協会は1953年にザルツブルク(オーストリア)で設立。 まずは強制送還が未遂に終わった8月12日から1週間後、19日の声明 モンテスキューが出…

キリバス共和国、憲法の危機(3)

三権分立し、物事がとりあえず正常に動いていると、その意味を感謝することはない。権力が集中していると王様が気に入らないので首をちょん切れ、とできたのだ。今それを太平洋島嶼国で実際に目にしている。実際に起こっている。 キリバス大統領は自分を批判…

キリバス共和国、憲法の危機(2)

2019年に台湾から中国に外交関係を変更したキリバス共和国の憲法の危機を以前お伝えしたが、現在その状況はさらに悪化している。 We previously reported on the constitutional crisis in the Republic of Kiribati, which changed its diplomatic relation…

Indo-Pacific Engagement: Lessons for Canada from the U.S., Australia, and Japan

www.youtube.com カナダのConference of Defence Associations Instituteに参加する機会をいただきました。モデレーターのクレオパスカルから、日本の太平洋に対する見解を5分で、という要請。第一次世界大戦あたりから語りたかったのですが、恩師、渡辺昭夫…

フィジー、北朝鮮から武器を輸入?

https://www.38north.org/2022/09/north-koreas-trading-of-small-arms-and-light-weapons-open-source-information-analysis-of-sanctions-implementation/ 38 Northという、北朝鮮の情報を分析するウェブサイトにフィジーが登場した。実は太平洋島嶼国は、…