やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

サンフランシスコ条約三条の形成背景

今月開催する「再び やしの実大学in与那国」に講師でお呼びする松田良孝氏と「八重山ジャーナリズム」についてお話する機会があった。 友寄英正氏、上地義男氏、そして三木健氏。 三木氏には2000年に西表島で開催した「やしの実大学」にご参加いただき、西表…

自由連合協定(COFA)予算可決(3)ブリンケン長官山田大使のコメント

On the Enactment of Compact-Related Legislation - United States Department of State 先週可決された米国とミクロネシア3カ国の協定、自由連合に関するブリンケン長官のコメント。パラオのウィップス大統領がこのブリンケン長官を震え上がらせて予算が2…

自由連合協定(COFA)予算可決(2)Diplomat: Patricia O’Brien論稿

Diplomatに掲載されたPatricia O’Brienの記事も興味深く、良質の記事であるのでご紹介する。 Is This the End of the COFA Saga? – The Diplomat そう、自由連合協定の問題は終わっていないのだ。 今回の議会可決に至る、ここ数年の交渉を詳細に見ていた立場…

自由連合協定(COFA)予算可決(1)ファイナンシャルタイムズ

私はここ数年、いや20年以上に渡って米国がミクロネシア3カ国と締結する自由連合協定に関する動きを見てきた。米国は冷戦終結後ずっと後ろ向きだったのだが、その流れを変えたのが中国の進出と安倍政権の明確な態度であった。 安倍政権の自由で開かれたイン…

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著読書メモ(5)

4章 国際法学会の創立と育成 一節 山田三郎と立作太郎と山川端夫 山田三郎は1869年生まれ。早大の前身東京専門学校に18歳で入学。鳩山和夫に認められ帝大法科大学全科専科生となる。しかし中学を卒業していないため錦城中学校から開始。すごい努力の人である…

米国とマーシャル諸島の危機!🇺🇸議会予算承認せず(2)

一本のブログにまとめられなかった、というか米国の核実験の告発の記事はそのまま掲載したかったので、残りの二本をこちらに書きます。 2024年1月から大統領に返り咲いたHilda Heine博士の意見です。 Marshall Islands wants nuclear weapons ban pact amend…

米国とマーシャル諸島の危機!🇺🇸議会予算承認せず

ミクロネシア地域は、ドイツ領から、パリ講和条約の下、日本の委任統治になり、戦後は国連の下米国の信託統治となり、国連決議植民地独立付与宣言を受けて米国との自由連合、という流れである。 スペイン時代があるだろう、というがそれは同地域の歴史を知ら…

歯欠け駒、ミャンマーで活躍

‘Broken Tooth’: The Face of Chinese Investment in Myanmar 中国マフィア、三合会の親分でパラオにもやってきた「歯っ欠け駒」尹國駒が、2020年12月に米国政府の制裁を受けながらも、中国国内で大活躍しているというのはタイのインテリジェンスから聞いて…

ツバル新首相台湾関係維持を明示

台湾相当選挙直後に西側が安堵した時、人口12,000のナウルが台湾から中国に外交関係を変更との発表があった。 そしてまたツバルが、新たな国会議員が選出され、親中派がその動きを見せているとのニュースが駆け巡った。 https://www.reuters.com/world/asia-…

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著読書メモ(4)

先に3節を読んでブログに書いてしまったが、2節に戻る。 「黎明期の時代的背景と先覚者」 日本が国際法を学んでいった背景は、開国によってそれまでは全く経験のない外交問題に取り組む必要があったからである。その最たる条約改正で、国際法を学んだ多くの…

やしの実大学in与那国Flyer作成しました!

やしの実大学in与那国、いよいよ今月末です。 石垣島でも小規模でやります。こちらは夕食込みで5千円。まだ席がありますので希望者はDMください。 Flyerを3つ作成しました。 広報ご協力お願いします。

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著読書メモ(3)

勘違いをして2節を飛ばして3節を先に読んでしまった。 3節は専攻国際法学者の誕生 千賀鶴太郎、有賀長雄、寺尾亨、高橋作衛、中村進午の5名が紹介されている。中でも、有賀、中村に夫々十ページ以上をさき、他3名は2−3ページと少ない。 千賀鶴太郎はベルリ…

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著読書メモ 寄り道「国際法学の移入と性法論」

一又正雄著『日本の国際法学を築いた人々』をメモをとりながら再読し始めた。一又氏が引用している大平善梧の「国際法学の移入と性法論」が気になってウェブ検索をしたら出てきた。しかも20ページで1日を潰す量でもなさそうだ。内容はお宝発見だった。 まず…

日米協力で太平洋島嶼国支援を!Lowy研究所に掲載されました。

2023年10月、ソロモン諸島、マライタ州Suidani氏とTalifilu氏を日本に招聘しました。当然米豪との政府関係者とは情報を共有して進めました。その結果豪州のLowy研究所から日米協力による太平洋島嶼国支援を、というオピニオン記事を出すことができました。 …

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著読書メモ(1)

2020年に急いで読んだ『日本の国際法学を築いた人々』は再読したいと思っていた。国際法が日本にどのように受け入れられて行ったのか?は現代日本国家形成を理解するのに重要であり、また国際法学がなんであるかを理解するにも重要だからである。 読書メモを…

南洋諸島は日本だった

日本の兵隊さんは偉かった!としか書かないネトウヨのおかげで日本の南洋統治について誰も議論しない現実を私は憂いている。私は、高校歴史教科書に一頁書く機会をいただいたので「日本の南洋統治」、特に沖縄移民について書いた。 第一次世界大戦後、現在の…

東風吹かば・・森元総理と太平洋島嶼国

アイコン、皆んなに褒められた北野天満宮の梅に。何気にiphoneで撮ったのだが無心だったのかもしれない。 東風が吹いて、北野天満宮の梅に変えたが、しばらくTwitterのアイコンを森元総理とのフィジーでのツーショットにした理由を書いておきたい。自民党の…

PEACESAT and ICT4D Story from Chuuk

The significance of publishing an article in an international journal is that it deepens and broadens the discussion of the article's topic. Mr Taro Mori from Chuuk State, Federated States of Micronesia, shared a valuable story with us. Wi…

身銭を切る公共vs公金ちゅーちゅーの公共

私は昨年、与那国でのやしの実大学に60万円、ソロモン諸島のスイダニ氏、タリフィル氏の日本招聘に70万円、自分のポケットから拠出した。私は大学生の頃からNGO活動、国際青年交流機構という内閣府系の組織の幹部をしており、無休で手弁当で運営に関与してい…

台湾総統選挙とナウル

追記:大事なことを忘れていました。ナウルは豪州にリン鉱石利権で利用された(利用した面も)だけでなく、難民受け入れセンターとしてかなり酷い状況に晒されています。中国に変更する気持ちはよくわかります。 *** スペースでも話しました。ブログに書…

The Modern History of ICT in Oceania—PEACESAT and USPNet

A paper on ICT, my first area of expertise, was published at the end of last year. The paper itself was completed in 2022, but the proofreading process took more than half a year. The hard work was worth it as I have already received many …

新年に学ぶ日中関係

元駐日大使・中国国務委員兼外交部部長王毅の日本語講演「日中両国更なる経済文化交流と観光発展を目指して」 全収録 2007.2.7 - YouTube お正月、能登半島の地震のニュースをフォローする中で、以前から気になっていた王毅外相の日本語のスピーチを見た。20…

パラオ、アデルバイ大使の怪文書(6)

アデルバイ大使が偽情報を鵜呑みにして、私を誹謗中傷した文書を笹川平和財団に発信するという異常な状況に苦しんでいる。 そしてこれは書いておこうと思うことがある。 2017年9月にJennifer Ansonに呼ばれてパラオ行った時、2日に渡り5時間も話をしたの…

パラオ、アデルバイ大使の怪文書(5)

Jigensha interviewed to the Sasakawa Peace Foundation and me about the Palauan Ambassador Adelbai's suspicious letter regarding the Solomon Islands, Malaita Province, and the invitation of Honorable Suidani, and reported. Both the intervie…

マライタを知らずしてソロモン諸島を語るなかれ

延べ5000人前後が豪州クイーンズランドの砂糖キビ畑に契約労働移民として送られた。人種差別が激しい豪州人の扱いは酷いものであった。 旧友のアコラウ・トランスフォーム博士になんで私はこんなことをしているのか説明しようと思い悩んだ。 始まりは2019年…

実効支配を勘違いしたメディアが竹島を韓国に差し出す

「竹島はねえ、韓国に実効支配されているから難しいのよ。」 著名なジャーナリストから聞かされた時、そうなのかと思うと同時に、違法に獲得した島を実効支配すればその国の領土になるとしたら、ほとんど管理も開発もされていない、太平洋島嶼国の島々は中国…

楽園の島の汚職・不正

楽園の島は越境犯罪の楽園でもあることは、このブログで繰り返し書いてきた。その越境犯罪を促しているのが島嶼国自身であると書いたら、みなさんは驚くでしょうか? 賄賂、袖の下を要求され、まともな企業は入れない、だから賄賂文化が当たり前の中国企業が…

中国の賄賂を断ると政権を追われる?ソロモン諸島マライタ州スイダニ前知事来日を控え

近々日本にお迎えする、ソロモン諸島、マライタ州ダニエル・スイダニ前州知事 日本人の関心はガダルカナルの戦いで止まり、2019年の中国への外交関係変更は一瞬話題にだっただけだ。その間、中国は着々と布石している。 日本で彼の動きを追っているのは、こ…

1977年国父Peter Kenilorea閣下は福田総理に会っていた!

Caption incorrect, Sir Kenilorea met Prime Minister Fukuda. 日本とソロモン諸島の歴史を調べている中で、ソロモン諸島独立前年1977年に、初代首相となったPeter Kenilorea閣下が来日し、福田総理に会っているというウェブを見つけた。 しかし情報が一つ…

戦前ソロモン諸島にいた20人の日本人

英米豪もやってこなかったソロモン諸島への継続的な支援を日本だけがしていた背景を探っています。 ミクロネシアは日本統治領で、島の人口より多い日本人(主に沖縄人)が植民したが、その他独領、その後豪州の委任統治領となったパプアニューギニアには、小…