やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

安倍総理が知らないインド太平洋構想ーバナナと薩摩芋

ハウスホーファー*がマレイポリネシア族、すなわちオーストロネシア語族の状況をもっとよく知っていれば、ゾルゲやヒトラー、スターリンに悪用されていなかったかもしれない。 しかしオーストロネシア語族の研究が進んだのは戦後なので、無理な話ではあるが…

インド太平洋構想ーハウスホーファーの太平洋地政学

いよいよ、本陣のカール・ハウスホーファー著「太平洋地政学」を手に取った。安倍総理の「インド太平洋戦略」を太平洋島嶼国からの視点で確認する智の旅だ。 なお、一般には「インド太平洋戦略」になっているが、「戦略」strategy という言葉がどうもしっく…

北朝鮮の脅威を作ったのはソ連の崩壊?

国連北朝鮮制裁委員会元専門家パネル委員の古川勝久さんが推薦しいたワシントンポストの記事。 非常に興味深い。 北朝鮮の脅威を作ったのはソ連の崩壊だった。 何千人ものソ連の科学者が、職を失い未来を失った。 米ソの衛星、ミサイル共同開発の計画もあり…

南極の調査捕鯨反対国(メモだけ)

南極の調査捕鯨反対のステートメント。 Joint statement calling for Japan to end lethal research whaling in the Southern Ocean Media Release 18 December 2017 http://dfat.gov.au/news/media/Pages/joint-statement-calling-for-japan-to-end-lethal-…

アメリカの太平洋回帰-トランプ政権の安全保障戦略

トランプ政権の国家安全保障戦略(NSS)が発表された。 https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2017/12/NSS-Final-12-18-2017-0905.pdf トランプ大統領のスピーチが映像で見れる。 あれ?このトランプ大統領のスピーチの文言誰に向かって言っているの…

トランプ大統領のパリ協定離脱は正解すぎる。

6:15あたりから。 2017-12-15 Japanese FM against 'dialogue for the sake of dialogue' with Pyongyang http://www.france24.com/en/20171214-interview-taro-kono-japanese-fm-nuclear-north-korea-talks-sanctions-china-tpp-trump?ref=fb 河野太郎…

水産ニュースが海洋国家日本を絶滅させる日

WCPFC会合が今回はかなりの成果をあげて、しかも日本の主張が通る形で終了した。 「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第14回年次会合」の結果について 平成29年12月8日 http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/171208.html 齋藤農林大臣も記者会見…

中型監視艇KEDAMパラオに到着

パラオに到着したKEDAM 日本財団が支援するミクロネシア海上保安事業の一環でKedamというパラオの軍艦鳥の名前がつけられた監視艇がパラオに到着した。 この中型船の支援の背景には水産庁と国交省庁間の軋轢があり、その原因を作ったのが私なのである。 ミク…

安倍総理のウェワク訪問と笹川良一氏からの指示

このブログを読んでくださっている某雑誌社の方から原稿の提案をいただき、昨晩8千字の原稿を書き終えた。気分転換で近くのスタバに行きそこで読み返そうと思ったところ、気になっていた安倍総理のインタビュー記事を掲載した雑誌があった。インタビュアは…

インド太平洋構想と第3期海洋基本計画策定に向けた意見書

12月18日、総合海洋政策本部参与会議は、政府の今後の海洋政策の柱となる「海洋基本計画」への提言を本部長の安倍晋三首相に提出。 産経と日経がニュースにあげている。 海洋の安全保障強化を インド太平洋戦略加速へ 海洋政策本部 政治 2017/12/18 https://…

ニューカレドニアの闇の奥ー麻薬と酒で沈む太平洋島嶼(リンク追加)

来年独立に向けて住民投票がされる仏領ニューカレドニア。 同地の大統領が新たな安全保障計画を発表。 New Caledonia announces new security measures amid crime spike RNZ 2017.12,23 https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/346857/new-c…

トランプ政権:遺跡保護法見直しと太平洋の海洋保護区

トランプ政権の遺跡保護法をめぐる動き。 ジンク内務省長官からトランプ大統領宛てに20ページのメモランダムが発信された。 現在200海里まで保護区にしている太平洋にある米領島嶼のことも含まれているので重要だ。これも海洋法上疑義があるはず、なのだ…

エルサレム首都認定に賛成するミクロネシア四カ国

トランプ政権がエルサレム首都認定に反対する国連決議。 ISRAEL General Assembly Passes Resolution Against U.S. Recognition of Yerushalayim as Israel’s Capital By Zalman Ahnsaf December 21, 2017 http://hamodia.com/2017/12/21/general-assembly-y…

「国際環境法の基本原則」松井芳朗著、東信堂、2010(自分用のメモ)

田中則夫先生の「国際海洋法の現代的形成」を再読する前に以前読んでみたいと思った松井芳朗著「国際環境法の基本原則」を開いた。環境と国際法の関係が気になったからだ。海洋法との関連以外に、戦後の国際法の中で現れてきた自決権と天然資源の権利に関係…

移民法に観光保護を取り入れた世界初の国となったパラオ(フェイクニュースかも)

(追記:ウェッブにある記事をそのままこのブログに書いていたが、どうも変な勘がしてきたのでパラオの法務省に訪ねてみたら法律ではなくて単なるdirectiveで、サインしたくなかったらしなくていい、とのこと。一体何が本当なのか。。。) ワシントンポスト…

米国が忘れていた太平洋のパートナー

昨日、米国はすごい!と紹介した国防省によるミクロネシアの自由連合協定を締結する3国の調査、そして7年間もペンディングにしたパラオへの支援金を国防省が肩代わりするような形で拠出したことを、U.S. Federal Aviation Administrationのオフィサーで民…

パラオと台湾の絆

FBにはどんどんきになるニュースをシェアしているのだが、ブログに書く時間がない! まずは在台湾のパラオ大使の短いインタビュー記事。 中国と台湾の間で揺れているように見えるパラオ。 中国政府がパラオへの団体観光客制限をしたことで、すなわちパラオー…

評論家・江崎道朗氏との出会い

評論家・江崎道朗氏の著書をこのブログで紹介していたら、FBFの方から、江崎氏とどのような接点があるのですか?と聞かれた。 他の研究会や会議の席でも江崎氏との関係を聞かれたことがある。 全てこのブログのおかげなのだ。 このブログ開設をほぼ強制的に…

米国防省、ミクロネシア政策に動く

米国の対ミクロネシア支援政策に本来担当する国務省でも内務省でもなく、国防省が動いた。 ミクロネシアは冷戦終結後約30年、米国に放っておかれたのだ。 この地域を米国の傘下にと強く望んだのは戦後の米国防省だった。だから今回の国防省の動きはあるべき…

「日本は誰と戦ったのか」ー コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ 江崎道朗著(2)

まさか太平洋島嶼国からゾルゲに繋がるとは思わなかった。 正直、ソ連、ロシアの事は関心も知識ない。関心があるのはチャイコフスキーやハチャトリアンの音楽くらい。 江崎道朗著「日本は誰と戦ったのか」ー コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ で、…

「日本は誰と戦ったのか」ー コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ 江崎道朗著(1)

江崎道朗氏の本を出すスピードがすごい。 スピードが上がれば内容は薄くなると思うにだが、どんどん濃くなっていく感じだ。 自分用のメモとして、3回に分けて読書感想を書いておきたい。 「日本は誰と戦ったのか」ー コミンテルンの秘密工作を追及するアメ…

パラオ大陸棚と私 - 鶏鍋からハイポリティクスへ

日本政府(外務省)主催、第4回海洋法に関する国際シンポジウムに参加したパラオ政府代表団 パラオ大陸棚の件が日本にとって重要であることを、沖ノ鳥島の件や第二列島線の件も含め、この4、5月に声をかけていただいた議連の講演会で説明した。勿論、事前…

カール・ハウスホーファーを知らないロバート・カプラン?

ロバート・D・カプラン著「地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図」 2014にハウスホーファーの事が書かれていると言うのでその箇所だけ読んだのだが。 ヒトラーに阿った悪の地政学としか書かれていない。。 ハウスホーファーが日本に滞在したこ…

インド太平洋構想ーハウスホーファーが日本で学んだ地政学

2002年3月に受領された同志社大学文学研究科の修論「ドイツ地政学再考 : カール・ハウスホーファーを中心に / 中崎雅子」を読んだ。 修論は貸し出しもコピーも禁止なのだが、ちょうど図書館の隣が文学部。 37ページの短い論文だが読み応えは十分ある。 ハウ…

「愛国とノーサイド 松任谷家と頭山家」三島由紀夫と私の共通点!

インド太平洋構想から、勘で頭山満を検索していたら何とユーミンに辿りついてしまった! yashinominews.hatenablog.com そのことが書かれている「愛国とノーサイド 松任谷家と頭山家」(延江浩著)を図書館で借りて読み出したら止まらない。 頭山家にかまつ…

歴史教育とは何か?ー母娘冷戦から見えたNZの歴史教育

ニュージーランド学会での発表が無事(無事でもない。PCが動かず最初の10分が消えた)終了したが、終わった後も文章を色々書くようにご指示があった。 急に原稿が増えて、嬉しいやら悲しいやら。 発表の中で、反応があったのが歴史教育である。 これは最近の…

インド太平洋構想 ー Karl Haushofer 京都の住居

1909−1910年、Karl Haushofer は京都の泉涌寺通りにある法音院の一角に住んでいたと、これはシュパング博士のペーパーにあった記憶がる。 泉涌寺は二度ほど訪ねたことがあるが法音院があることすら気づかなかった。 先日、時間が空いたので訪ねてみた。標識…

インド太平洋構想 ー Karl Haushofer 文献リスト

安倍総理の、そして今やトランプ大統領が、モディ首相が、そして豪州外交白書までも唱えている「インド太平洋」。「インド太平洋」の地政学を議論しているらしいKarl Haushofer を読んみようかとまずは文献リストを作成して行きたい。 興味深いのはハウスホ…

インド太平洋構想から頭山満、ユーミンへ 「全ての憤りを己の滋養と心得よ」

安倍政権が進めるインド太平洋構想の原点を訪ねようと頭山満を検索していたらユーミンに。 頭山満、名前だけは知っていたが急にその輪郭が迫ってきた。 頭山満が孫の尋子に語ったという次の言葉が頭から離れない。 「よいか、尋子、意趣返しは頭山の誉れでは…